価格の高さは問題にならない
気になるのがVision Proの価格だ。本体価格3500ドル(約54万円)に、ハプティクスに必要なハードウェアを加えると決して安いとは言えない。一方メタのMeta Quest Proは900ドル(約14万円)程度なので、同じ金額で3台買うことができる。しかし、専門家は、価格は一時的な問題だと指摘する。「Vision Proの初期バージョンは、多くの人にとって手の届く価格帯ではないものの、我々が考えもしなかった疑問に対する答えを与えてくれ、これまで不可能だと思っていたことを可能にしてくれる。アップルによるXR市場への参入は、ビジネスの観点だけでなく、顔にデバイスを装着することが当たり前になるという心理的な観点からも、この市場の将来性を証明する重要な出来事だ」と、手術トレーニングプラットフォームを開発するPrecision OS(プリシジョンOS)のCEO、ダニー・ゴーエルは言う。
プリシジョンOSによると、米国において、医療機器メーカーが外科医に新しいツールや手術の方法をトレーニングする2日間の実習のコストは5000ドル(約77万円ほど)ほどだという。従って、同等の結果が得られるバーチャル体験は費用対効果が比較的高いと言える。医師がVision Proを持っている場合にはなおさらだ。この点については、ビンセントも同意見だ。「代替サービスのコストと比較すると、(本体価格の)3500ドルは全く問題ではない」と彼は言う。
現在、Vision Proは米国でしか販売されていないが、アップルのティム・クックCEOは中国の記者団に対し、今年中に同国でも発売すると語った。米国での販売台数が減速していることを考えると、アップルは2024年に欧州など他の地域での展開を計画していることが考えられる。
(forbes.com 原文)