UNDER 30

2024.04.20 13:30

米フォーブスが選んだ世界を変える30歳未満

Kendall Jenner

Kendall Jenner

米フォーブスは2023年12月/ 24年1月号で、30歳未満のチェンジメーカーを選出する「30 UNDER 30」を発表した。13回目となる今回は、自身の知能を人工知能(AI)の活用に生かし、各分野で自動化を推し進める受賞者が目立った。米フォーブス編集部は1万1000人を超える候補者を対象に、財務状況や影響力、創造性や将来性を評価。外部の専門家審査員の力も借りて、20の業界を網羅する600人を選出した。ここでは、その一部を紹介する。
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*受賞者の年齢は、フォーブス「2023年12月/ 24年1月号」掲載時のもの。

ART&STYLE

ケンダル・ジェンナー |818 Tequila創業者

Age : 28

テキーラが最優秀賞受賞 年37億円売り上げるモデル

自身の知名度に頼って高級蒸留酒を売り込もうとする著名人は数多いが、ケンダル・ジェンナーは違う。モデルであり、カーダシアン=ジェンナー一族の一員である彼女は、名前を出さずにテキーラブランドの818を立ち上げた。2021年に正式にブランドを発表する前に、自身のレポサド(2カ月~1年熟成されたテキーラ)を「ワールド・テキーラ・アワード」に匿名で出品。同部門の最優秀賞を取った。

「テキーラもブランドも自力で成立し、私がかかわらなくても愛されるようになってほしかった」。受賞実績に助けられたほか、自身がTikTokとInstagramに擁する3億人のフォロワーにも助けられ、22年に12万3000ケース以上の818テキーラを売り上げた。価格は1本30ドル(約4000円)からで、熟成期間が1年以上のアネホの最上級品となるエイト・リザーブの小売り価格は約150ドル(約2万円)だ。

フォーブスの試算では、22年の売り上げは約2500万ドル(約37億円)だった。818のほかにも、カルバン・クラインやプラダ、ステラマッカートニーなどのモデルの仕事を獲得しており、リアリティ番組、「カーダシアン家のセレブな日常」への出演で、引き続き何百万ドルも稼いでいる。

MUSIC

ラトー|ラッパー

Age : 25

セルフマネジメントが利益を最大化する

「Big Energy」がSpotifyで月間3100万人のリスナーに聴かれるようになる前、ラトーは出身地のアトランタで手づくりのツアーをしていた。10歳から活動を始めたラトーは、地元の演芸会や自由参加のステージでラップを披露。信号機の支柱にチラシを貼って回り、出来のいいラップのミックステープをウォルマートの駐車場で配っていた。
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2019年のヒット曲「B*tch From Da Souf」がRCAレコードとの契約につながり、ブレイクのきっかけとなった。自身でマネジメントを行い「自ら采配を振ることは利益の最大化を意味する」と語るラトーは、1回の出演で平均30万ドルを請求するという。パフォーマンスの仕事に加え、楽曲の印税、ブランドとの契約、ツアー、俳優業の収益があり、本人によれば23年の稼ぎは1200万ドル(前年は300万ドル)になる。どの仕事も最低50%の利益を確保するのがラトーの鉄則だ。「商品としての自分については、24時間頭を働かせています。結局のところ、アーティストは商品ですから」。2つのグラミー賞の候補に選出され、大規模音楽フェスにも出演しているラトー。24年はとある事業を立ち上げる予定だと謎めかした。「音楽は永遠に続くものではありませんから」。

HOLLYWOOD & ENTERTAINMENT

ジョーダン・E・クーパー|劇作家

Age : 28

今求められているアートはつくりたくない

トニー賞の候補にもなった挑戦的な戯曲、『Ain’t No Mo’』が2022年にブロードウェイでの初演を迎えた際、ジョーダン・E・クーパーはブロードウェイ史上最年少の黒人米国人劇作家として飛ぶ鳥を落とす勢いだった。しかしチケット販売は振るわず、ウィル・スミスやタイラー・ペリー、ションダ・ライムズなどがチケットを買い上げたものの、わずか28公演で幕を下ろした。一風変わった方法で人種差別に終止符を打とうとするこの痛烈な喜劇作品について、クーパーは「今求められているアートはつくりたくはありません」と語る。

「これから必要とされるアートをつくりたいのです」。現在は、ハリウッドで勢いに乗っている。18年にコメディアンのミズ・パットと偶然出会い、彼女の人生を題材にしたシットコム『The Ms. Pat Show』を制作。本作のパイロット版提出の際、テレビネットワークの幹部がこのシリーズ番組を指揮するにはクーパーは若過ぎると考えていることがわかったため、自身の名前を伏せた。この策が功を奏し、本作の製作総指揮者に就任。22年と23年には、エミー賞監督賞のノミネーションも果たした。次はヴィング・レイムス主演のボクシング映画、『Uppercut』に出演するという。
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文=フォーブス編集部 翻訳=荻原藤緒、木村理恵 写真=ティム・タダー

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