アクセラレーターのAI Grantに参加
状況が一変したのは、ビズコムがGitHubの元CEOであるナット・フリードマンと、ストライプやコインベース、フィグマの初期投資家であるダニエル・グロスが出資するアクセラレータープログラム、AI Grantの第1期生に選ばれてからだ。ビズコムは、同プログラムが2022年11月にスタートしてから2ヵ月後に、Unusual Ventures(アンユージュアル・ベンチャーズ)が主導するシードラウンドで500万ドル(約7.7億円)を調達した。テイラーは、ユーチューバー時代の経験を生かして製品のデモ動画を自ら制作した。彼は、4700人のYouTubeフォロワーに対し、線画を自然言語コマンドで写真レンダリングに変え、数クリックでさらにコンセプトを洗練させる方法を紹介した。
同社にとって初期の法人顧客の1社であるフォードは、2023年4月に同社のデジタルR&Dチームのメンバーがインスタグラムでビズコムの投稿を見たことをきっかけに同サービスを導入した。ニューバランスは、同年11月に顧客となった。「2023年の1年間でビズコムが獲得した膨大な量の問い合わせに大変驚かされた」と、インデックス・ベンチャーズのアチャジャンは話す。彼女は、テイラーたちがAI Grantに参加していたときに初めて会ったという。
現在、同社は数十社の法人顧客と、月払いの個人ユーザーを抱えている。法人顧客は、ソフトウェアのAI機能が拡充されるにつれて、過去の製品デザインから得た膨大な量のデータを取り込むことができるようになる。例えば、過去の製品スケッチやパッケージデザイン、ブランドイメージを引き出し、その企業のコンセプトに合ったカスタムモデルを構築することができる。また、今月初めには3Dモデリング機能の提供も開始した。
テイラーが目指すのは、ソフトウェアのレンダリングイメージを直接3Dプリンターで出力できるようにし、デザイナーが頭の中で描いたイメージを物理的なプロトタイプにできるようにすることだ。「いずれ、ビズコムに線画をアップロードすれば、3Dプリンターが出力してくれる日が訪れるだろう」と彼は語った。
(forbes.com 原文)