今回設立されるToyota Ventures Frontier Fund IIとToyota Ventures Climate Fund IIは、トヨタが2021年に立ち上げた既存ファンドを基盤とする第2号ファンドとなる。トヨタ・ベンチャーズの運用資産は、今回の新たな出資により8億ドル(約1200億円)を突破した。
トヨタ・ベンチャーズ創業者兼ゼネラル・パートナーのジム・アドラーは声明の中で、「生成AIや合成燃料(e-fuel)、宇宙の商業化、二酸化炭素回収、合成生物学などにおいて劇的なブレークスルーが起きている今は、トヨタにとって投資の好機だ」と述べ、投資を倍増させていくと語った。
トヨタ・ベンチャーズのポートフォリオは、世界全体で75社に及ぶとされる。既存のFrontier Fundの投資先には、ニュージーランドを拠点とするバイオセンサー・メーカーのScentian Bio(センティアン・バイオ)と航空機メーカーのJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)などが含まれる。ニューヨーク証券取引所に上場しているジョビー社は、2022年に韓国のSKテレコムと提携し、空飛ぶタクシーサービスの実現を目指している。
トヨタ・ベンチャーズのポートフォリオの約4分の1は、「気候変動と戦うためのスマートでスケーラブルなソリューション」に焦点を当てた、既存のClimate Fundの投資先だ。
これらの企業には、2022年にフォーブスの「アジアで最も注目すべき100社」にも選ばれたオーストラリアのフードテック企業Vow(バウ)などが含まれる。培養肉を手がける同社は、2022年にオーストラリアVCのBlackbirdと石油大手アラムコの投資部門Prosperity7がリードするシリーズAラウンドで4920万ドル(約75億円)を調達した。
2017年に設立されたトヨタ・ベンチャーズは、トヨタ・リサーチ・インスティテュート傘下のToyota AI Ventures(トヨタAIベンチャーズ)として始動し、2021年にトヨタから3億ドルの追加出資を受けた際に現在の名称に変更された。
トヨタは、トヨタ・ベンチャーズに加え、オートメーションとクリーンエネルギー関連のスタートアップを対象とする投資部門のウーブン・キャピタルを運営している。ウーブンの6つの投資先企業には、過去にソフトバンクやフィデリティなどから20億ドル(約3061億円)を超える資金を調達した、自動配送ロボのNuro(ニューロ)などが含まれる。
(forbes.com 原文)