・ ポルトガル、ギリシャ、アイルランドなどの近隣諸国はすでに、物議を醸しているゴールデンビザ制度を見直したり、廃止したりしている
・ 欧州委員会は、安全保障上のリスクのほか、汚職やマネーロンダリング(資金洗浄)、脱税に対する懸念から、加盟国はすべてのゴールデンビザ制度を廃止すべきだとしている
投資による市民権や居住権に関するコンサルティングを行う英ヘンリー・アンド・パートナーズによると、投資家はスペインのゴールデンビザ制度を通じて3年間の居住許可を得ることができ、5年間の更新を経て、最終的には永住権を取得することができる。
英経済紙フィナンシャル・タイムズは、世界の汚職を監視する非政府組織(NGO)トランスペアレンシー・インターナショナルが昨年行った調査を基に、スペイン当局は中国人に対して2700件、ロシア人に対して1100件以上のゴールデンビザを発給したと伝えた。
同制度は外国からの投資を呼び込み、不動産市場の暴落による金融危機からの回復を促す手段として、欧州各国が導入した。米紙ワシントン・ポストは、今回の見直しは、安全保障や物価上昇に対する懸念や、この制度が実際に経済を活性化させているのかという疑念の中で、欧州をはじめとする各国が同制度の締め付けに動いていることの現れだと報じた。
スペイン政府がゴールデンビザ制度の廃止を発表したことで、特に富裕層からは批判の声が上がっている。廃止に反対する人々は、同制度は中・低所得者層の住宅購入に影響を与えるものではないと主張している。
近隣のポルトガルやギリシャのように、居住権獲得を目的とした投資家ビザ制度にメスが入り、制度の見直しや廃止が各国で進む中、扉が永久に閉ざされてしまう前に、投資家はスペインでの不動産購入を急ぐものと予想される。
(forbes.com 原文)