同制度の廃止を決定する前の昨年時点では、スペイン政府はゴールデンビザ取得に必要な最低投資額を現行の2倍となる100万ユーロ(約1億6400万円)に引き上げることを検討していた。
政治的に有害なゴールデンビザ制度
スペインでは、不動産価格の高騰によって住民が住み慣れた地元から追いやられる中、手頃な価格の住宅を確保することが国民の最大の懸念事項となり、ゴールデンビザ制度が政治的に「有害」と見なされるようになった。この問題を巡って連立政権内部には亀裂が生じ、同制度を廃止する圧力が強まった。米経済メディアのビジネスインサイダーによると、経済協力開発機構(OECD)は、スペインの若者が親元から独立する平均年齢が昨年、EU平均の26歳を大幅に上回り、30歳に達したとの調査結果を報告した。この理由について同機構は、スペインの若者は親元を離れて就職活動をすることが難しく、成人として独立することが困難になっていると分析している。