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2024.04.12

水原元通訳、24億円超の詐取で米当局が訴追 「大谷は被害者」

大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手(左)と水原一平元通訳。2024年3月20日、韓国ソウルで(Masterpress/Getty Images)

米連邦検察当局は11日、大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の通訳を務めていた水原一平を銀行詐欺の罪で訴追したと発表した。違法賭博への「強烈な欲望」を満たすために、水原が大谷から1600万ドル(約24億5000万円)を詐取したとしている。

これまでの報道では、水原が大谷から詐取した金額は「少なくとも450万ドル」とされていたが、大きく上振れした。

検察によると水原は2021年以降、大谷の野球収入用の銀行口座から違法賭博組織の関係者側の口座に送金していた。賭けの回数は次第に多くなり、損失も膨らんでいったという。

水原は大谷の口座開設を手伝っていため、口座にアクセスできたとされる。大谷の会計士や財務アドバイザーらに対しては、大谷が非公開を望んでいるとして口座へのアクセスを拒んでいた。銀行への電話では大谷本人と偽り、電信送金を承認させていたという。

米紙ニューヨーク・タイムズは今週、水原側が司法取引に向けた交渉を進めていると報じていたが、検察側は合意の可能性については言及しなかった。エストラダによれば、水原は数日内に裁判所に出廷する見込み。

水原の弁護士マイケル・フリードマンはコメントを控えた。

検察「大谷は被害者」

問題の発覚後、メディアに対する水原の説明が変化したことから、大谷は水原の賭博について知っていたのではないかという臆測も流れた。だがマーティン・エストラダ連邦検事は11日の記者会見で、大谷は「この事件の被害者とみなされている」と述べ、大谷が送金を許可したことを示す証拠はないとも説明した。

一方、水原については「大谷から信頼されている立場を悪用した」と断じた。

エストラダによると、検察は2人の間で交わされた膨大な通信記録を調べたが、賭博や送金に関するものは見つからなかった。水原は大谷の銀行口座から金を引き出す一方で、賭博の勝ち金はすべて自分の銀行口座に振り込んでいた。ある胴元に宛てたメールでは、詐取について認めていたようだったという。

水原は当初、自身が賭博でつくった借金の返済を大谷が自発的に手助けしたという趣旨の説明をしていたが、のちに撤回した。大谷は先月開いた記者会見で、水原の賭博や送金についてはいっさい知らず、水原が嘘をついたと語っていた。

エストラダは、水原が興じた賭博は野球に関するものではなかったようだとしている。

水原は大谷と2013年に出会い、大谷が2018年の大リーグデビュー前に渡米して以降、専属通訳を務めていた。
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forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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