欧州

2024.04.12 09:00

ウクライナ、対艦ミサイルの弾頭転用した大型無人艇を開発か 黒海で謎のボート発見

1950年代にソ連で開発されたP-15テルミート対艦ミサイル(Shutterstock.com)

このボートの技術的な詳細がサットンの見立てどおりで、所属元がウクライナだとすれば、ウクライナは強力な火力を備えた攻撃用水上ドローンを新たに無人艇隊に加えようとしていると推測される。
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ウクライナが大型の水上ドローンを欲しがる理由は明らかだ。ウクライナは水上ドローンで襲撃する場合、現状では10〜12艇を組み合わせて行うのが普通だ。2月14日、クリミア南部沖で黒海艦隊の揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」を撃沈するには、水上ドローンが10艇必要だった。

「戦闘は20分続いた」と生き延びたロシア水兵は振り返っている。「水上ドローン10艇のうち4艇は破壊された。だが5艇目がツェーザリ・クニコフの艦尾に直撃し、艦は動けなくなった。それから6艇目、7艇目、8艇目、9艇目の水上ドローンが、艦の転覆を狙って左側の中央部や船尾近くに順次直撃した」

理論上は、500kgの弾頭を搭載した水上ドローンは230kgの弾頭の水上ドローン2艇と同程度の損害を与えることができる。そのため、たとえばまず1艇で敵艦の腹に穴を開け、そこにもう1艇を潜り込ませて内部の機械類を破壊し、浸水を早めるといった手順を踏まずによくなる。
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大型の水上ドローンはまた、ケルチ橋の橋脚などへの攻撃にも使えるかもしれない。ウクライナは2023年7月に、より小型の水上ドローンを用いてこの橋を攻撃している

この攻撃に使われた水上ドローンはルーマニアで回収されたボートの半分ほどの大きさだが、CNNによると820kg弱の大型弾頭を搭載していたという。ウクライナは橋に対する攻撃では弾頭やボートを大型化するのかもしれない。

大型の水上ドローンはさらに、ロシアの軍艦を一撃で沈められるように設計されている可能性もある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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