AIと感情科学に関する30以上の研究論文を発表している現在33歳のコーウェンは、2015年にフェイスブックに人々のウェルビーイングを優先するアルゴリズムの変更方法についてアドバイスを行った際に、人間の表情を検出・測定できるツールの必要性に初めて気づいたという。
メンタルヘルス分野でも活用
ヒュームのAIはこれまで、健康やウェルネス、カスタマーサービス、ロボット工学などの分野のアプリケーションで利用されている。弁護士マッチングサイトのLawyer.comは、カスタマーサービスの質を測定し、エージェントを訓練するために同社のAIを使用している。ヘルスケアとウェルネスの分野では、使用例はもっと初期段階にある。ニューヨークを拠点とするアイカーン・スクール・オブ・メディシンの研究科学者、スティーブン・ハイジックは、「深部脳刺激療法(DBS)」と呼ばれる実験的研究(患者が脳内に電極を埋め込む治療法)を受ける患者がもつ、うつ病や境界性パーソナリティ障害などの症状を追跡するために、ヒュームのモデルを使用している。
「DBSの研究に参加している患者たちは、1日に2本のビデオ日記をつけています。我々は、患者たちと心理学者や精神科医とのセッションを録画し、ヒュームのモデルを使って顔の表情や声の変化を分析しています」とハイジックはフォーブスに語った。
ヒュームのモデルは、業務効率化チャットボットのDo(ドット)にも統合されている。このチャットボットを開発するスタートアップのNew Computer(ニューコンピュータ)共同創業者のサマンサ・ウィットモアは、ヒュームのAIは、人々の感情についての「拡張されたコンテキスト」を提供すると述べた。
「AIがストレスやフラストレーションを検出した場合には、『その仕事は負担が多そうですね。どうすればもっと管理しやすくなるか考えてみましょうか』といった応答が期待できるのです」と彼女は言う。「ヒュームのAIは、ボットが人々の心の状態に合わせることを可能にするのです」
(forbes.com 原文)