アメリカンリーグ東地区に所属する両球団とそのファンは互いを敵視し、張り合っていた。ただ、そんな時代も道端の公衆電話ボックスのように遠い思い出となりつつあるのかもしれない。
レッドソックスの年俸総額は、ア・リーグ東地区5チームの中で唯一減少傾向にある。これは重要な事実だ。
米スポーツ界のデータを集計・分析するサイトSpotrac.comはMLB全球団の選手の年俸を掲載している。
それによると、ヤンキース所属選手の今シーズンの年俸総額は3億615万2658ドル(約468億円)で、前年比約2400万ドル(約37億円)の増額となった。対照的に、レッドソックスの選手の年俸総額は1億7838万2395ドル(約273億円)で、前年比約510万ドル(約7800万円)減だ。
昨シーズン、ア・リーグ東地区を制したボルティモア・オリオールズは101勝61敗という素晴らしい成績を残した。ヤンキースは82勝80敗と、勝率5割をわずかに上回る惨めな結果に終わった。レッドソックスは78勝84敗で、勝率は.481。オリオールズとは23ゲーム差の最下位に沈んだ。
ヤンキースは2022年に99勝63敗で地区優勝を果たしている。レッドソックスは78勝84敗で昨年と同じく最下位だった。
直近でレッドソックスが健闘したのは地区2位だった2021年だ。92勝70敗で、優勝したタンパベイ・レイズとはわずか8ゲーム差という立派な成績だった。
選手の年俸
選手の年俸は球団の成功を左右するすべてではない。だが、選手登録枠にインパクトのある選手が何人いるかを示す指標にはなる。レッドソックスに試合の流れを一変できるインパクトの強い野手が不足していることに疑問の余地はほぼない。それでも今シーズンは開幕からの10試合で7勝3敗と好スタートを切った。
一方のヤンキースは9勝2敗と過去最高の出だしだ。チームにインパクトのある野手がいることは間違いない。
ヤンキースとレッドソックスの成績は近年かけ離れ、かつて見られた競り合いの輝きは失われている。今シーズンはまだまだこれからだが、両球団の方向性の違いはこれ以上ないほど大きくなっているようだ。
選手年俸の総額はヤンキースでは増えているが、レッドソックスでは減少している。