経営・戦略

2024.04.11 11:30

ジャック・マーが表舞台に復帰、アリババ社員を「長文メモ」で激励

ジャック・マー(Wang HE/Getty Images)

ジャック・マー(Wang HE/Getty Images)

中国のアリババの共同創業者のジャック・マー(馬雲)は、従業員向けのメモの中で、会社の組織再編を支持し、リーダーシップを賞賛した。かつて中国政府との対立が報じられた彼はここ数年、身を潜めていたが、久々に表舞台に復帰した。

マーは、社内フォーラムに投稿した長文のメモの中で、アリババを6つの事業部門に分割し、会社を大改革した昨年の幹部の決定を称賛した。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると彼は、「我々は大企業病を克服した」と記し、アリババが「煩雑で厄介な組織」から、効率性と市場を第一に考える「シンプルで機敏な組織」に生まれ変わったと付け加えた。

マーは、アリババが過去に「数え切れないほどの過ち」を犯したことを認め、今後もさらなる過ちを繰り返すだろうとしながらも、問題に直面したときに重要なのは「過去を否定することではなく、責任を持って未来への道を見つけることだ」と強調した。

ロイター通信によるとマーは、この一年間のさまざまな失敗や突然の方針転換、当局の規制強化などを受けて、高まった社内外のプレッシャーが「強く勇敢なアリババチームの誕生」をもたらしたと書いている。

彼は、エディ・ウー(呉泳銘)CEOとジョセフ・ツァイ(蔡崇信)会長のリーダーシップを賞賛し、彼らの「勇気と知恵」が、不透明な時期に会社の方向性を取り戻すのに役立ったと語った。

香港市場に上場するアリババの株価は、マーの投稿の後に5%以上上昇した。

今回のメモは、マーがここ5年間に社内システムに投稿したものの中で、最も長い文章だったとされている。カリスマ的な共同創業者として知られる彼は、2019年にアリババを退任し、会長職を退いたが、今でも多くの社員の尊敬を集める大株主の1人だ。

社員たちを鼓舞

アリババの共同創業者で会長のツァイは最近、ここ数年で社内の士気が低下したことを認めており、今回のマーの前向きな投稿は、社員たちを大きく鼓舞した。今回の彼の投稿は、数カ月前のものとは明らかにトーンが異なるものだった。

その当時、会社に軌道修正と改革を促した彼の投稿は、アリババの将来の方向性をめぐる混乱を助長しただけだった。このメモは、規制当局や習近平国家主席との対立を経て、会社の日常業務や公の場から数年間遠ざかっていたマーが、徐々に公の場に復帰するきっかけとなるものだと広く受け止められていた。

アリババの経営から退いたマーの健康状態や居場所については、多くの憶測が飛び交い、日本やヨーロッパなどでの滞在が報じられた。その当時の彼に関する報道の多くは、彼がビジネスの巨人としての地位を取り戻すよりも、教育者としての原点に戻る可能性を示唆していた。

フォーブスは、マーの保有資産を245億ドル(約3兆7400億円)と試算しており、彼は世界で81位、中国で7番目の富豪となっている。元英語教師のマーは、1999年にアリババを共同創業した。彼はフィンテック大手のアントグループの株式も保有している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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