政治

2024.04.11 10:30

トランプ、米スパイ法案「つぶせ」とSNS投稿

ドナルド・トランプ前米大統領(lev radin / Shutterstock.com)

ドナルド・トランプ前米大統領(lev radin / Shutterstock.com)

ドナルド・トランプ前米大統領は10日、今週下院で採決が予定されている外国情報監視法(FISA)第702条の延長法案について「つぶせ」と共和党議員らに呼び掛けた。ジョー・バイデン大統領が法案を推進する一方、右派議員らはより厳しい監視規制を求めている。

「FISAをつぶせ」──トランプは自身が創設したSNS「トゥルース・ソーシャル」にこう投稿し、同法が米大統領選でトランプ陣営をスパイするため「違法に利用された」と主張した。

FISA第702条は、米情報当局の権限を拡大し、捜索令状がなくても連邦捜査局(FBI)のデータベースを利用して外国人や国外に住む米国人の通信を監視できるようにする法律だ。

米司法省は2020年、FBIが2016年米大統領選でトランプ陣営の外交顧問を務めていたカーター・ペイジとロシアとのつながりを捜査した際、使用した捜査令状4つのうち2つを不適切な方法で取得したと判断した。申請書類に虚偽の記載があったという。しかし、令状はFISAの別の条項に基づいて取得されており、この条項は今回の延長法案の対象となってはいない。

下院に提出された第702条延長法案には、情報当局者の乱用を抑制するための複数の監視改革が盛り込まれている。特に、在外米国市民の監視については、データベースに登録された身元情報を照会する際にFBIの監督官か専属弁護士の承認が必要となる。

しかし、トランプ派や一部の進歩派の議員らは、在外米国市民の監視に令状取得を要件とするよう求めている。米国人の人権保護に必要だとの主張もあるが、バイデン政権は情報当局の足かせになると反論している。

米議会は昨年12月、年末で期限を迎える第702条を4月19日まで延長することを決定した。令状要件をめぐる議論が折り合わず、法案を通過させる複数の試みが失敗に終わったためだ。下院規則委員会はまもなく延長法案の審議入りを決めるとみられ、令状要件を含む修正案が真偽の焦点となる。

マイク・ジョンソン下院議長(共和党)は、今回提出された延長法案に賛成票を投じるよう議員らに呼び掛けている。下院で法案を可決できなければ、上院で現行法のさらなる延長が可決される可能性が高く、そうなれば新たな合意について交渉する時間がほとんどないまま下院も追認せざるを得なくなると警告している。

共和党強硬派のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、FISA第702条延長法案の支持を理由の1つとしてジョンソン議長の解任を要求している。グリーンは10日、トランプのトゥルース・ソーシャル投稿を引用し、「共和党のリーダーがたった今、ジョンソン議長が下院に持ち込もうとしているFISA法案について真実を語った」とX(旧ツイッター)に投稿。「ジョンソンはすでに、トランプの死刑判決を望む司法省の予算を全額承認している。なおも『ディープステート』にトランプを殺す道具を与えるつもりか」などと非難した。

グリーンは先月、ジョンソン議長の解任動議を提出したが、採決に期限を課してはいない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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