同じように中国による「低烈度紛争」にさらされているのが、尖閣諸島だ。中国海警局は元々、1000トンに満たない船舶を尖閣諸島周辺に投入していたが、2019年ごろから5000トン級のヘリコプター搭載船の投入を始めた。船舶の大型化に伴い、中国が尖閣周辺で活動する期間も大幅に伸びた。荒天にも耐えることができるうえ、食料や飲料水の補給問題も解決したからだ。現在も、中国の船舶は尖閣周辺海域で連続110日を超える活動を続けている。元自衛隊幹部は「プレゼンスを示して制海権を握るという軍の動きそのものだ」と指摘する。
尖閣の場合、金門島と異なり、住民がいるわけでもない。山下氏も「尖閣諸島には日本政府が設置した施設もないため、実効支配しているという主張が弱くなりがちです。海上保安庁に負担をかけることになりますが、常に巡視船を配置し、毅然と対応するしか方法がありません」と語る。
5月20日には、頼清徳氏が台湾の新しい総統に就任する。中国も今月、台湾の馬英九前総統を招くなど、台湾の世論分裂を狙った動きを強めている。5月にかけて、金門島周辺が波高くなる事態が起きる可能性もある。
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