アジア

2024.04.11 10:45

金門島と尖閣諸島 戦力で圧倒する中国が仕掛ける低烈度紛争

中国の港湾都市アモイからわずか数マイルしか離れていない台湾の島、金門島の海岸に、老朽化した上陸防止バリケードが設置されている(Eddie Gerald / Getty images)

山下氏は「中国が台湾を制圧すれば、自動的に金門島や馬祖島なども陥落することになります。中国当局とすれば、無理押しせず、台湾に対する圧力調整弁として使った方が、都合が良いと考えているのでしょう」と指摘する。
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同じように中国による「低烈度紛争」にさらされているのが、尖閣諸島だ。中国海警局は元々、1000トンに満たない船舶を尖閣諸島周辺に投入していたが、2019年ごろから5000トン級のヘリコプター搭載船の投入を始めた。船舶の大型化に伴い、中国が尖閣周辺で活動する期間も大幅に伸びた。荒天にも耐えることができるうえ、食料や飲料水の補給問題も解決したからだ。現在も、中国の船舶は尖閣周辺海域で連続110日を超える活動を続けている。元自衛隊幹部は「プレゼンスを示して制海権を握るという軍の動きそのものだ」と指摘する。

尖閣の場合、金門島と異なり、住民がいるわけでもない。山下氏も「尖閣諸島には日本政府が設置した施設もないため、実効支配しているという主張が弱くなりがちです。海上保安庁に負担をかけることになりますが、常に巡視船を配置し、毅然と対応するしか方法がありません」と語る。

5月20日には、頼清徳氏が台湾の新しい総統に就任する。中国も今月、台湾の馬英九前総統を招くなど、台湾の世論分裂を狙った動きを強めている。5月にかけて、金門島周辺が波高くなる事態が起きる可能性もある。
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文=牧野愛博

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