中国ゲーム大手ネットイースが米ブリザードとの提携再開

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中国の大手ゲーム会社ネットイース(網易)は米国時間4月10日、マイクロソフト傘下のブリザード・エンターテイメントとの提携を再開し、ブリザードがもつ『World of Warcraft』などの人気タイトルの提供を再開すると発表した。

中国のプレイヤーは、今夏から再びネットイースを通じて『スタークラフト』や『ハースストーン』を含むブリザードの人気タイトルにアクセス可能になる。加えて、ネットイースのゲームをマイクロソフトのXboxコンソールやその他のプラットフォームでも提供する予定という。

ネットイースCEOのウィリアム・ディンは声明で、「私たちが共に築いてきたこのユニークなコミュニティで、顧客にサービスを提供できることを嬉しく思います」と述べた。

中国5位の富豪で320億ドル(約4.9兆円)の資産を持つディンが率いるネットイースは、2022年11月にブリザードとの長年の提携関係を解消した。その際、ディンは詳細を明らかにすることなく、主要な条件について「重大な相違」があると述べていた。香港市場に上場するネットイースの株価は、このニュースが報じられた後に15%下落した。

両社は、データの保管から知的財産の所有権に至るまで、さまざまな条件をめぐって意見が対立していると広く報じられていた。10日の発表で、新たなパートナーシップの詳細は明らかにされなかったが、アナリストによれば、ブリザード・エンターテイメントは、中国のモバイルゲーム市場の一角をまだ狙っているという。

英調査会社オムディアによると、中国は近年の当局の規制にも関わらず、世界最大のモバイルゲーム市場であり続け、昨年のゲーム販売高は370億ドル(約5.6兆円)に達する。2位の米国市場では、220億ドル(約3.3兆円)だった。

オムディアの上海在住アナリストであるツァイ・チェンユーはこの先、両社のさらなる提携強化が行われ、ブリザードの人気シューティングゲーム『オーバーウォッチ 2』なども中国でリリースされる可能性があると述べている。

彼女はまた、32年間にわたりアクティビジョン・ブリザードを率いてきたCEOのボビー・コティックが昨年12月に退任したことが、今回の提携再開の一つの原因かもしれないと付け加えた。アクティビジョンは、昨年10月に完了した690億ドル(約10.5兆円)の取引でマイクロソフトに買収された。

「ブリザード・エンターテインメントは中国市場をあきらめたくないのです」とツァイは述べ、過去1年のあいだ中国でパートナーを探し続けてきたブリザードの活動は、あまり進展がなかったと付け加えた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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