4万7000人の参加者を調査した研究者たちは、そのうち既に甲状腺がんを患っていた2500人が、1~3年間GLP-1薬を使用した場合、使用しなかった人と比較して、あらゆる形態の甲状腺がんのリスクが増加したことを発見した。これは2022年の研究によるものだ。
また、GLP-1薬を投与されたマウスやラットは、そうでないものと比較して、濾胞傍細胞(C細胞)から発生する甲状腺がんの発生率が高かったと、Endocrinologyに発表された研究では示されている。2006年から2023年の間に、米国食品医薬品局(FDA)にはGLP-1薬に関連した甲状腺がんのケースが468件報告され、そのうち18件が死亡例だった。
オゼンピック、ウゴービ、サクセンダ、ビクトーザのメーカーであるノボ・ノルディスクは、各薬剤の副作用として甲状腺がんを挙げており、家系に甲状腺髄様がん患者がいる場合は使用を控えるよう警告している。
しかしノボは、これらの薬がラットに甲状腺腫瘍を引き起こしたとする研究の存在は認めているものの、これが人間にも当てはまるかは不明であると述べている。欧州医薬品庁(EMA)は最近の研究をレビューし、2023年10月には「GLP-1薬と甲状腺がんとの因果関係を支持する証拠はない」と述べている。
この発表は、EMAが安全シグナルを発し、GLP-1薬が甲状腺がんを引き起こすかどうかを調査すると発表した4ヶ月後のことだった。
研究者らは、セマグルチドの使用と甲状腺がんを含むあらゆる種類のがんとの潜在的な関連性を調査したが、リスクの増加は見られなかった。2022年の研究レビューでは、セマグルチドの使用が甲状腺がんや甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症などの甲状腺関連の病気のリスクを高めるかどうかが調べられたが、リスクの増加は見られなかった。
それ以前の研究でも、GLP-1薬とSGLT2阻害薬が比較され、GLP-1薬を服用した研究対象では甲状腺がんのリスクが高まることはなかったが、その集団はBMJの研究よりもはるかに小規模だった。
(forbes.com 原文)