オークションの主催者は、この車両が定価を大きく上回る価格で落札されることを予想していた。今回の取引は、サイバートラックの最も高価なモデルのCyberBeast(サイバービースト)が、二次流通市場で落札された初めてのケースとなった。
サイバービーストは、後車軸に2基と前車軸に1基の電気モーターを搭載した4輪駆動式の車両で、航続距離は約515km。停止状態から60mi/h(約96.6km/h)までの加速時間がわずか2.6秒。0.25マイル(約402m)を11秒未満で駆け抜けるとされている。
今回のオークションでは1週間で合計108件の入札があった。
テスラがサイバートラックを発表したのは2019年11月のことで、創業者のイーロン・マスクが「最高級の黙示録テクノロジー」と呼んだこの車両は、月末までに50万人以上が100ドルのデポジットを支払って予約をしたとマスクは述べていた。
サイバートラックの製造は度重なる遅延に直面し、最初の車両がひと握りの顧客に納車されたのは、発表から4年以上が経過した2023年12月のことだった。
サイバートラックの予約台数はすでに200万台を突破したとされており、約6万ドルのベースバージョンの納車は2025年に予定されており、2つの上級級モデル(約8万ドルと9万6000ドル)は今年中に展開される。
サイバートラックの供給台数は非常に少ないため、顧客の関心の高さやマスクのエキセントリックなイメージと相まって、二次流通市場では人気が出ると予測されているとブルームバーグは報じている。
一方で、専門家はこのような未来的な外観のトラックに市場があるかどうかを確信していない。マスクは昨年10月、テスラの投資家たちにこのモデルの納車が遅延し、量産体制の構築に苦戦していることから、「サイバートラックで自ら墓穴を掘った」と語っていた。
調査会社オートパシフィックのアナリストは、フォーブスの取材に、「防弾仕様に対する消費者の需要は高まっていない」と語り、ジェフリーズのアナリストは、このモデルが「テスラの利益とキャッシュの足を引っ張ることになる」と述べた。
現状のサイバートラックの販売台数は明らかにされていない。テスラは、直近の四半期決算でこの車両の購入台数を公表しておらず、予約台数に対して実際の販売台数がどれくらいになる見込みなのかも明らかにしていない。
(forbes.com 原文)