地上から約400kmを周回する国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士たちが、米国時間4月8日の皆既日食で生まれた月の影を撮影した。気象衛星も同様の画像をとらえている。
Here's a look at the moon's shadow on @NOAASatellites GOES East as peak totality occurred this afternoon across the continental US! We hope you all had a safe and enjoyable viewing experience! pic.twitter.com/HnidJdDhL6
— NWS Northern Indiana (@NWSIWX) April 8, 2024
何カ月も撮影の準備を進めた結果
ISSは偶然、日食を撮影したわけではない。NASAは、2044年までアメリカ大陸で見ることができない今回の皆既日食に合わせて、何カ月も宇宙ステーションの高度を調節してきた。その結果、カナダ南東部の上空約400mから、ニューヨーク州からニューファンドランドへと動く月の影を撮影した歴史的画像が誕生した。NASAの宇宙航空技術者であるマシュー・ドミニクとジャネット・エップスにがISSの撮影用モジュールを使って撮影した。ISSは皆既日食の間、上空を横断していたが、地球からその姿を確認することはできなかった。というのも、ISSが見えるのは太陽を反射しているからであり、地上から見える高速で動く白い光は、ISSのソーラーパネルに反射した太陽光だ。
Sped-up look at our video of the Solar Eclipse filmed from orbit #Eclipse2024 pic.twitter.com/Pv2cyOluzq
— sen (@sen) April 9, 2024
衛星写真
月の影は米国海洋大気庁(NOAA)の気象衛星シリーズGOESからも撮影された。GOESの各衛星は大気状況の画像とデータを提供している。GOES-Eastは、日食ファンのために皆既日食の経路で雲のない場所を見つけるサポートをしただけでなく、米国本土を写した衛星画像は、月の影が大陸を横断するところをとらえた。GOES-Eastは地球の赤道上の高度約3万5786kmを地球の自転と同じ速度で周回しており、地表の同じ地点上に静止している。
気象衛星はまた、月の影に入った部分の表面温度が低くなったことも観測した。日食で地表に届く太陽光の量が減ったためだ。
次の日食はいつ?
北米では次の皆既日食は2033年3月30日にアラスカで起きる。米国本土では、2044年8月22日にモンタナ州、ノースダコタ州およびサウスダコタ州で皆既日食が見られるが、そのわずか1年後の2045年8月12日には、カリフォルニア州からフロリダ州に至る米国12州の一部を皆既日食が通過する。(訳注:日本では、2030年6月1日に金環日食が北海道ほぼ全域で、2035年9月2日に皆既日食が北陸から関東北部で見られる見込み)
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サイエンス
北米の広範囲で皆既日食 メキシコ、米国、カナダを横断