投資銀行のシティグループおよび調査会社のRosenberg Research(ローゼンバーグ・リサーチ)とYardeni Research(ヤルデニ・リサーチ)の3社は、1オンスあたり3000ドルへの継続的な上昇を予想している。
その熱狂的な予想とは対照的に、ドル高や米国の利下げペースといった力が金価格下落の引き金になりかねないという意見もある。
金価格は限界に達していると警告する意見のなかでも最も注目されたのが、国際資本市場協会のシニアアドバイザー、ボブ・パーカーの言葉だ。
彼はCNBCのインタビューで、ファンダメンタルズを考慮すると金価格の上昇余地は小さく、過去6カ月で1オンスあたり530ドル(29%)と急ピッチで上昇した反動により、今後金価格が下落する可能性について話した。
不安定な金融市場に対するヘッジを求める個人の買い手や、米ドルや他の通貨とは別の資産の割合を増やそうとする各国中央銀行など、複数の買い手が金を上昇させている。
このゴールドラッシュにより、大手ディスカウントストアのコストコが朝食用シリアル、靴、スマートフォンと並んで1オンスの金の延べ棒を提供するまでになった。
中央銀行による金の購入は、金市場においてより大きな上昇要因となっている。中国の中央銀行は3月に16万オンスの金を購入するなど、同国が17カ月連続で金を購入していることが明らかになった。中央銀行の金に対する購入意欲は、ここ3年連続で記録的な高水準となっている。
このまま中央銀行が買い続ければ、今年の公的機関による金の購入量は、2022年に記録した1081.9トン、2023年の1037.4トンを上回る可能性もある。
記録的な急上昇の反動により金価格が下落するという意見もある一方で、シティなどの投資銀行は、金にはまだ上昇する余地があると見ている。
シティは先週末に顧客に送ったリサーチノートの中で、今後3カ月間の金と銀の価格目標を、それぞれ1オンスあたり2400ドルと28ドルに引き上げたと述べている。
楽観的なシナリオ
シティは、「向こう6〜12カ月間における目標の価格水準を、我々の楽観シナリオである1オンスあたり3000ドル(金)、1オンスあたり32ドル(銀)に向けてさらに引き上げる可能性もある」としている。同社は、ドル安が金価格を押し上げているのではなく、金利低下の見通し、他のオルタナティブ資産に対する低いニーズ、地政学的リスクに対するヘッジニーズの高まり、金融機関による旺盛な現物需要などの要因が金の価格を引き上げていると考えている。
(forbes.com原文)