東日本大震災をきっかけに、写真家のルシール・レイボーズと照明家の仲西祐介が2011年に立ち上げた「KYOTOGRAPHIE」は、毎年一つのテーマを軸に国内外からアーティストを招き、「写真」というメディアを通して現代社会やその背景を映し出してきた。
12回目となる今年のテーマ、「SOURCE」は、すべての起源を意味する。生命の創造、そして、生命による創造の活動……。世界のアーティストたちは、この題目に対してどのような作品、メッセージで提示するのか。期間中は、京都の12会場で13の展覧会が開催される。
そのひとつが、フランスの写真家、ティエリー・アルドゥアンによる『Seed Stories(種子は語る)』だ。写真家集団Tendance Floueの共同設立者でもある彼は、文化や時代を超えて旅をする“種子”に焦点を当て、ポートレートを撮り続け、その小さな世界に秘められた多様な魅力を探求している。
肉眼ではわからない鮮やかさを帯びた写真たちは、重要文化財である二条城の二の丸御殿 台所・御清所を舞台に、セノグラファーに緒方慎一郎(SIMPLICITY)、キュレーターにナタリー・シャピュイ(Atelier EXB)を迎えて展示される。
開幕に先駆け、ティエリー・アルドゥアンに展覧会の経緯や作品に込めた思いについて話を聞いた。
出会いが生んだ物語
──日本ではじめての展覧会となりますが、京都にはどのような印象をお持ちですか?京都には過去に一度だけ訪れたことがあります。8年前に、韓国の釜山で『KOREA ON/OFF』という展覧会に参加しており、釜山から大阪(関西国際空港)へは数時間で行けるということで、数日だけ京都に滞在することにしました。
日本は京都しか訪れたことがないので他の都市については分かりかませんが、都会とは違った静かで心が落ち着く素敵な街だと思いました。哲学の道や寺院、そして街の中で自然を感じることができるのも好きです。
今回、その京都で、しかも二条城という格式高い会場で展示できるということはとても幸せですし、セノグラファーが緒方慎一郎氏であるということも光栄です。展覧期間には日本に滞在、数日を使って直島と手島を訪ねる予定です。