欧州

2024.04.10 09:30

ロシア軍機が最前線でロケット弾攻撃始める 東部で新たな市街戦に突入か

ロシア空軍のSu-25攻撃機。2020年6月、モスクワ郊外クビンカで(Vladislav Sinelnikov / Shutterstock.com)

ロシア空軍のSu-25攻撃機。2020年6月、モスクワ郊外クビンカで(Vladislav Sinelnikov / Shutterstock.com)

ウクライナ空軍が昨年、より高性能な西側製防空兵器の配備を増やしたとき、ロシア側がとった対応は理にかなっていた。ロシア空軍はスホーイ戦闘爆撃機や攻撃機の武装を有翼の滑空爆弾に変更し、目標から最大40km離れた場所から攻撃できるようにした。これくらい離れていれば多くの防空兵器の射程圏外になる。

だが昨年10月、ウクライナへの米国の追加支援がロシアに融和的な米下院議員たちの手で阻まれると、ウクライナ軍の防空部隊は対空ミサイルが不足し始めた。

現在、ロシア空軍のスホーイの一部はもっと前線近くまで出てきて、射程40kmの滑空爆弾ではなく短距離ロケット弾で攻撃するようになっている。

ロシア軍が占領しているウクライナ東部ドネツク州バフムートのすぐ西にあるウクライナ側の拠点、チャシウヤール市の外れで最近あった激しい戦闘を撮影したドローン(無人機)の映像には、ロシア空軍のスホーイSu-25攻撃機4機が低空飛行しながら、ウクライナ側の陣地をわずか数km先からS-8ロケット弾で攻撃する様子が映っている。

別の映像では、ロシア軍機のパイロットがウクライナ側の携行式対空ミサイルに備えてフレア(赤外線誘導ミサイルを欺くための熱源となるおとり)を発射しているが、これは不要だった。地上からミサイルは飛んできていない。

ロシア軍はチャシウヤールに対する空襲を通じて、ウクライナ軍の第67独立機械化旅団や近傍の第23歩兵大隊など、この都市の守備隊への圧力を強めている。

ロシア軍は4日から5日にかけて、市郊外に配置されている第23歩兵大隊の陣地に突撃を繰り返した。例によって大きな損害を被りながらも、少なくとも少数の部隊が市の最も外側を走るゼレナ通り沿いに陣取った。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は5日の戦況評価で「チャシウヤールで近く市街戦が始まるかもしれない」と分析している。

チャシウヤールの守備隊を悩ませている最大の問題は砲弾不足で、これに関しては欧州の支援諸国が解決に奔走している。ただ、対空ミサイル不足もそれに次いで大きな問題だ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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