ヤマト運輸「置き配」開始は、2024年問題の切り札となるか

プレスリリースより

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物流の2024年問題もあいまって、宅配ドライバーの過酷な労働状態が取り沙汰されているが、とくに大変なのは再配達。そのもっとも手近な解決策に「置き配」指定がある。ネット通販ではすでに一般化しているが、ヤマト運輸は通常の宅急便にも置き配を導入することを決めた。

すでにヤマト運輸では、EC業者向けの置き配サービス「EAZY」を提供している。年間取り扱い数約23億個のうち、EAZYで置き配されているものは約5億個とのこと。置き配の認知度がニーズが高まってきたと捉えた同社は、6月10日から一般向けの宅急便と宅急便コンパクトでも置き配サービスを提供することにした。

対象となるのは、ヤマト運輸の個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」に登録している会員。クロネコメンバーズでは、受け取ることになっている荷物の配送状況を知ることができるが、「お届け予定通知」、「ご不在通知」、「My荷物一覧」の画面の「受け取り日時・場所変更」で「置き配」を選択できるようになる。さらに、玄関ドア前、宅配ボックス、物置、車庫などの置き場所を指定する。配達が完了すると、荷物が置かれた場所の写真が「お届け完了通知」に表示される。

国土交通省によれば、2023年末の時点で宅配便の再配達率は11.1パーセント。再配達のための時間や燃料のロスに加え、配達個数で報酬を受け取るドライバーには、再配達が増えるほど実質給与が減るという深刻な問題にもなっている。
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プレスリリース

文 = 金井哲夫

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