古代では、天空の動きは完全に規則的だとみなされていた。星や惑星は決まった経路に沿って動き、この見かけ上の調和に何らかの変化が生じると、その影響が地球にも及ぶと考えられていた。地震を含むさまざまな自然災害が起きるのは、月食や日食のせいだとされていた。ソーシャルメディアでは、太陽や月や他の惑星の位置に基づく、地震や火山噴火の予言(とされているもの)が容易に見つかる。それに比べ、本格的な研究はほとんど見つからない。
地球の地殻変動活動に対する月の影響に関して、科学者らは100年近くにわたって推測をめぐらせてきた。重力に起因する誘発効果が、特に大地震のデータを調べると見つかるとする研究者もいたが、別のデータセットを用いると、相関関係は全く認められなかった。
2016年に発表された研究では、地震と月との間に相関関係がある可能性が示唆されている。南米チリ、米カリフォルニア州、日本などの大型地震の発生頻度を調査した研究チームは、太陽と月と地球が一直線に並ぶ新月か満月の時に、マグニチュード5以上の地震が発生する可能性が高くなることが判明した。理論上、この配置によって地球の海水が引き寄せられることで、海盆の質量分布が変化する。引き寄せられた海水分の質量が増えるため、南米のアンデス沈み込み帯、北米のカスケード地域、日本のような島弧などの、大陸の縁に沿って位置する断層系にさらなる応力がかかる可能性がある。
この作用は、研究チームも認めているように極めて弱く、浅い断層にしか影響を及ぼさない可能性が高い。潮汐によって応力が増加する期間に起きる地震で、月の位置と関連があると認められるのは1万回に1回程度と、研究チームは試算している。
地震は潮汐力の影響を実際に受けているのか、そして、こうした影響を調べることで、次に起こる大地震に関する情報が得られるのかどうかについては、地質学者らがここに記しているように、今なお激しい議論を呼んでいるテーマだ。
ALSO
サイエンス
北米の広範囲で皆既日食 メキシコ、米国、カナダを横断