その記事で検証したように、カーサンCEOは、企業の投資収益率が従業員エンゲージメントと密接に関連していることを知っていた。同氏の説明によれば、従業員エンゲージメントに関して上位25社の企業は、過去15年における株主総利回りが+18%だったのに対し、下位25社では-4%だったことが調査によって明らかになったという。
さらに、効果的なリーダーシップが存在する会社では、従業員のエンゲージメントも高い。効果的なリーダーシップが存在する会社のエンゲージメント度は、効果的なリーダーシップがない場合に比べて6倍に上った。
したがって、Salary.comに効果的なリーダーシップを配置し、新たな従業員のエンゲージメントを高めなければならないことを、カーサンCEOはよく承知していた。
信頼の構築
Salary.comをめぐるケネクサの成功は、多くの意味で、その年のはじめにカーサンがアストラゼネカからザヒール・ラダニを引き抜き、6カ月のあいだケネクサの「控え選手のベンチ」に置いたときに始まった。これにより、正式に任命されるのを待つあいだに、ラダニがケネクサの社風を理解する時間ができた。その「正式に任命」された先が、Salary.comだった。カーサンCEOはラダニをSalary.comプロジェクトの新たなトップに据え、デューデリジェンスの主導を任せた。そのおかげでラダニは、Salary.com社内の重要人物と慣行をすべて把握することができた。