事業継承

2024.04.21 12:00

M&Aやサーチファンドも登場。新しい事業承継100社(前編)

ワアク 家業|出島型|地場産業の継業 

代表者|酒見史裕 設立年|2019年
「家具の街」として知られる福岡・大川の家具職人アトツギ。4代続く家業である老舗家具メーカー有限会社丸惣に入社。2016年、先代逝去に伴い代表取締役に就任。第二創業としてオフィス家具へ事業を拡大し、在宅ワーク向けデスクのD2Cブランド「WAAK°(ワアク)」を立ち上げ、ファンドからの資金調達に成功。地場産業の新しい継ぎ方だ。

平安伸銅工業 家業|異業種承継|新規事業 

代表者|竹内香予子 設立年|1977年
便利グッズ「突っ張り棒」の製造・販売で広く知られる会社だが、創業家3代目にあたる現社長は元新聞記者。家業には抵抗があったが、先代である父親の療養を機に新聞社を辞して入社。安定した経営に向け、滋賀県庁職員だった夫を説得して家業に引き込み、2015年に社長に就任し、手軽にできるDIYグッズなど新たな商品開発に取り組む。

テンポスホールディングス 従業員承継|人事制度 

代表者|森下篤史 設立年|1997年
飲食店向けの中古厨房機器を販売。「自分の人生、自分で決める」の考えのもと、創業者である森下氏が考案した「社長の椅子争奪戦」を実施。4年に一度社内から立候補者を募り、プレゼンテーションされる各々の業務成果について社員が投票することで時期社長を決定している。これまでに5回開催され、適任者不在の回は保留もあった。

welzo 従業員承継|組織再編 

代表者|金尾佳文 設立年|1952年
園芸用品を扱う「日東花材」、有機肥料等を扱う「龍」、肥料の原料となる飼料を扱う「永瀬」の3社が合併してできた園芸・農業の専門商社。13年にわたる出向で関連会社の立て直しをしていた現社長を抜擢。西日本最大の専門商社へと押し上げた。2023年1月1日、創業100周年を機にニチリウ永瀬からwelzo(ウェルゾ)へ社名変更。

三笠産業 サーチファンド|地域金融 

代表者|唐澤宏誌 設立年|1949年
山口フィナンシャルグループの山口キャピタルによるサーチファンドを通じた県内企業初の事業承継。同社は農薬やプリンター用のリサイクルトナーなどを手がける地域の中核企業。群馬県出身で、総合商社やPEファンドを経たサーチャーの唐澤氏が2023年2月に代表取締役に就任。承継後も地銀グループによる成長支援を受け、地域雇用を守る。

GLIONグループ M&A|組織再編 

代表者|菊地秀武 設立年|1986年
2005年以降、100社近くの会社を譲り受け、国内外で成長を続けている買い手企業。創業時は小さな自動車修理工場だったが、現在は輸入車・国産車などの正規ディーラー事業を主力とする。アフターサービスや人材教育など自動車にまつわるあらゆる領域をカバー。独自のM&Aメソッドを確立し、グループで働く「人の成長」を重視している。

ジャパンブルー M&A|PEファンド|地場産業 

代表者|刈田直文 設立年|2014年
日本有数のジーンズ産地である岡山・児島から生まれた「桃太郎ジーンズ」や「JAPAN BLUE JEANS」など、高価格帯の人気ジーンズブランドを展開。日本国内だけでなく、海外にも販路拡大している。コロナ後の成長を見据え、M&Aによる譲渡を決断。22年1月、東京のPEファンド「刈田・アンド・カンパニー」に株式を譲渡し、事業成長を図る。

アレスカンパニー サーチファンド|事業譲渡 

代表者|大富 涼 設立年|1999年
一橋大学で経営学修士(MBA)を修了し、総合商社に入社。外資系コンサルティング企業を経てサーチャーに。ゲームセンターのクレーンゲーム景品の卸しと自社企画の商品を作る会社を承継し、短期間で売上を倍増させ、急成長中のGENDAに株式譲渡し、グループ入りした。日本M&Aセンターなどが出資するサーチファンド・ジャパン2件目の承継事例。

ナカミライズホールディングス M&A|地域一体型|多角化 

代表者|中村太紀 設立年|2019年
地域への貢献を軸に、これまでに複数回、後継者不在に悩む地元企業のM&Aを積極的に実施。創業時より主とする公共事業の土木工事や不動産販売業に加え、それにまつわる周辺事業の内製化のほか、介護施設や保育園、飲食店をも傘下に収め、計10社以上、2園を展開する。グループ間での相乗効果を狙い、生産性の最大化を図る。

MOON-X M&A|ブランド共創型 

代表者|長谷川 晋 設立年|2019年
「共創型M&A」を提唱する同社。強みを持ち寄り、ワンチームとなってブランドの飛躍と継続的な成長を目指し、M&Aを通じて日本のブランド力を強める事業を展開する。2023年7月、中国市場へのブランド展開を強化するため、初の海外拠点「MOON-X上海」を設立。同年8月には、猫グッズのEC販売を手掛け、注目される会社「猫壱」を買収した。
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この記事は 「Forbes JAPAN 2024年4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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