事業継承

2024.04.21 12:00

M&Aやサーチファンドも登場。新しい事業承継100社(前編)

Forbes JAPAN編集部

神田工業 出島型|新規事業 

代表者|髙島一郎 設立年|1970年
LED照明や光学フィルムなどの液晶パネルを製造。2015年に代表取締役に就任した2代目の一郎氏が、世界最薄のビーコンで非接触ディスプレイを独自開発。18年には社内からIoTデバイスのベンチャー「MIRAI BAR」を設立し、開発を主導した従業員がCEOに就任。開発中の非接触ディスプレイはセブン-イレブン店舗にて実証実験も行われた。

ヒルトップ 新規事業|オープンイノベーション 

代表者|山本勇輝 設立年|1980年
山本鉄工所として1961年創業。2006年山本が入社後、アルミ切削加工工場のDX化で24時間無人稼働を実現。22年に社長に就任。社外連携も豊富で、同年に小松精機工作所など3社で合弁会社「ネクストコアテクノロジーズ」を設立し、EVなどに搭載される高効率モータを開発。世界初の量産可能な「アモルファス積層コア」の生産技術を確立。

飛騨産業 ブランディング|地域一体型 

代表者|岡田明子 設立年|1920年
一大家具産地である飛騨高山の礎となる老舗企業。明子氏が先代の父から2021年に承継。ブランド名を「HIDA」として、社内外から猛反発を受けつつロゴも刷新。創業100年を契機に、同年に同社のビジョンと4つの価値観「人を想う、時を継ぐ、技を磨く、森と歩む」を策定。職場改革にも着手し、管理職における女性を20人以上とすることが目標。

ハミングバード・インターナショナル 新規事業|地域一体型 

代表者|青木聡志 設立年|1975年
元は現社長の祖父母が始めた6坪の洋食店「キッチン エリーゼ」から始まり、パスタ専門店「ハミングバード」や和食店、焼き鳥店、バルなど計11ブランド・18店舗の飲食店を経営。一から自社の赤字経営を立て直したことに加え、異業種であるタクシー会社とタッグを組んだフードデリバリー「タクデリ」など飲食店らしい地域一体型の拡大を続ける。

ケルン 社会課題解決|地域一体型 

代表者|壷井 豪 設立年|1959年
神戸市内のベーカリー3代目の豪氏は、京都・ドイツでパン職人として研さんを積み、2012年に家業を継承。フードロスを削減する販売システム「ツナグパン」を考案。売れ残ったパンを袋詰めして販売し、購入者にはエシカルコイン1枚(100円相当)を発行。購入者への発行額と同額のコインを福祉施設に送る。パン廃棄率は11パーセントから2パーセントに減少。

第一交通産業 新規事業|地域一体型 

代表者|田中亮一郎 設立年|1960年
テレビ業界から転身した社長が、塾への送迎にも利用できる「子どもサポートタクシー」などの独自サービスに加え、事業所の担当エリアを超えた配車を可能にした独自システム「No.1タクシーネットワーク」を創出。リーマンショックを機に不動産・医療介護・海外事業にもサービスを拡大し、総合生活産業としての地位を確立した。

CATEGORY 02|承継方法を学ぶ

後継者不在が社会問題化するなか、多様な継ぎ方に着目。M&Aを通じて企業を救済したり、地場産業を支援したり、あり方は多様化している。サーチファンドを活用した新しい中小企業の承継事例も登場する。

竹下製菓 家業|M&A 

代表者|竹下真由 設立年|1927年
アイスクリーム「ブラックモンブラン」を製造する佐賀県の会社。5代目社長は、事業継承を念頭に大学院で経営工学を学び、アクセンチュアを経て、2016年に実父から家業を継承。元同僚の夫・雅崇氏を副社長に置き、新商品開発とM&Aに取り組み、売り上げを2倍に拡大。これまでアイスOEM製造のスカイフーズやパン製造の清水屋食品を買収。

佐藤繊維 家業|地場産業の継業|ブランディング 

代表者|佐藤正樹 設立年|1932年
紡績ニットメーカー。現社長である4代目正樹氏はアパレルメーカー勤務を経て1992年に佐藤繊維へ入社。取引先であったイタリアへの視察を転機に下請けから自社ブランドをもつメーカーへの転身に成功し、繊維業界での地位を確立。倒産した紡績工場や染色工場、レースメーカーなどを買収し、希少な技術の継承と独自性の高い商品開発を行っている。

Orbray 新規事業|組織改革 

代表者|並木里也子 設立年|1953年
前身は1939年創業のアダマンド並木精密宝石。宝石の切削加工の技術をインプラントなどの医療分野や半導体装置に応用し、売り上げを拡大。3代目の里也子氏は元アスリート。2021年社長に就任し、経営コンサルタントを副社長に迎え、23年に社名変更。生産拠点のある秋田県湯沢市に新本社工場を建設し、26年をめどに東京から本社移転予定。

北海道コンフェクトグループ 家業|ホールディングス|ブランディング 

代表者|長沼真太郎 設立年|2022年
母体となる「きのとや」は札幌の洋菓子店。長男である真太郎氏は丸紅の菓子食品課にて海外製の食品の輸入業務に携わったのち、きのとやに入社。その後焼きチーズタルト専門店「BAKE」の創業・売却を経て、2022年、父・昭夫氏と新会社である同社を設立。多数の菓子ブランドを再建し、北海道の菓子メーカーの事業継承にも注力している。
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この記事は 「Forbes JAPAN 2024年4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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