宇宙

2024.04.08 15:00

皆既日食に沸く米国、71年に一度の彗星も見える 今週の夜空

2017年8月21日に北米で観測された日食の合成画像(Getty Images)

2017年8月21日に北米で観測された日食の合成画像(Getty Images)

今週北米の天体観測ファンには、皆既日食が見られるというまたとないチャンスがやってくる。皆既日食が通るメキシコ北部から米国の15州とカナダの5州にかけての幅185kmの経路へ行けない人は、部分日食を見ることになる。空が晴れることを期待しよう。

日食の他に夜空を飾るのがポン・ブルックス彗星だ。太陽を71年かけて周回する短周期彗星で、日本時間4月20日頃までの夕方、西北西の低空で見ることができる。4月10日には細い月と接近する。

今週は、イスラム教の断食月であるラマダンの終わりを祝うイドゥル・フィトリ(断食空け大祭)も行われる。

今週の星空観賞と天文について知っておくべきことを以下に記す。
2024年4月8日の皆既日食が通過する経路(NASA)

2024年4月8日の皆既日食が通過する経路(NASA)

4月9日(火曜日):「スーパームーン」と皆既日食

地球上のある場所で皆既日食を体験できるチャンスは、平均して366年に1度しかこない。そのため、北米で7年の間に2度の皆既日食を体験できるのはかなり特別なことだ。米国時間4月8日の皆既日食は4分26秒間続くが、見るためには何よりも場所が重要だ。

昼間の暗闇を体験し、美しい太陽コロナを肉眼で見ることができるのは、メキシコ北西部の太平洋岸からカナダ大西洋岸にいたる幅185kmの帯の中にいる人だけだ。皆既日食はテキサス、オクラホマ、アーカンソー、ミズーリ、イリノイ、ケンタッキー、テネシー、ミシガン、インディアナ、オハイオ、ペンシルベニア、ニューヨーク、バーモント、ニューハンプシャーおよびメインの15州を通過する。北米のそれ以外の地域では、部分日食を見ることができる。

この皆既日食を起こす月(新月)は「スーパームーン」だ。太陽を100%隠すことができるのは普通の新月よりも大きい月だけだ。この月は、米国東部夏時間4月7日午後12時53分に地球に最も近づく「近地点」を通り、その約24時間後に日食が起きる。日食の瞬間、月の見かけの大きさは太陽の1.057倍になる。

4月10日(水曜日):最も若い月

この日の日没直後、輝面比わずか4%の細い三日月が西の空に現れるが、その後すぐに沈んでしまう。まだ明るい夕暮れにこの月を見つけるためには、開けた西の地平線と双眼鏡が必要だ。月は木星の下に位置し、その間にポン・ブルックス彗星(12P)も見える。月が細いということは、夜の間中月の光がない完全な暗闇になるという意味でもある。 

4月11日(木曜日):三日月と木星

日が沈んだすぐ後、輝面比9%の満ちていく細い月が、昨夜よりもわずかに高い位置に現れ、わずかに長い時間見える。三日月の暗い側で「地球照」を探そう。太陽光が地球の氷冠や雲に反射して月面を照らす現象だ。木星は月の真下で輝き、その間には天王星がある。ポン・ブルックス彗星(12P)は、木星のすぐ下に見えるはずだ。

三日月とプレアデス星団

月のすぐ下には、散開星団であるプレアデス星団(すばる)が見え、おうし座の明るい恒星であるアルデバランも左上に輝いている。

次の日食はいつ?

今度は、ヨーロッパ大陸で1999年以来となる皆既日食を見に行く計画を立てるときだ。2026年8月12日の皆既日食は、その経路がグリーンランドに始まり、アイスランドの西端を横切って北大西洋へと続く。スペインのマドリードとバルセロナはわずかに外れ、地中海のマヨルカ島を過ぎたところで終わる。

最大となる2分18秒の皆既は、クルージングとホエールウォッチングシーズン真っ只中のアイスランドの首都レイキャビク沖で起きるが、多くの日食ウォッチャーたちは、ドラマチックな日食の日没という珍しい光景を見るために、マヨルカ島の西海岸に行く誘惑にかられることだろう。

米国において4月8日の次に日食が起きるのは、2033年3月30日のアラスカだ。

(訳注:日本では、2030年6月1日に金環日食が北海道ほぼ全域で、2035年9月2日に皆既日食が北陸~関東北部で見られる見込み)
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北米の広範囲で皆既日食 メキシコ、米国、カナダを横断

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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