欧州

2024.04.08 10:30

ウクライナ向け砲弾、エストニアが新たに100万発発見 年内にロシア凌駕も

ウクライナ軍のBM-21グラート自走多連装ロケット砲。2016年10月、キーウ州ジウチキー村近くで(paparazzza / Shutterstock.com)

とはいえ、仮にエストニアが100万発にのぼる砲弾・ロケット弾の全量は購入できなくても、購入できた分はウクライナ軍の在庫を増やし、ロシアが拡大して3年目に入る戦争の戦場でウクライナ側にとって目下、最大の問題を解決するのに寄与するはずだ。
advertisement

ウクライナ軍の砲兵は以前は砲弾を1日6000発ほど発射していたが、現在はわずか1000発程度まで落ち込んでいる。ロシア側は引き続き1日6000発近くのペースで砲撃している。弾薬が枯渇したウクライナ軍部隊は、ロシア軍の突撃部隊を発見しても攻撃する手立てがないことも多くなっていた。

ウクライナ東部アウジーウカの守備隊が2月下旬、5か月にわたる過酷な戦闘の末についに撤退に追い込まれたものも、弾薬不足が最大の理由だった。アウジーウカの廃墟になだれ込んだロシア軍は、過去9カ月で最大の領土を獲得し、戦争全体で勢いを得た。

ウクライナ側の弾薬不足に気づいたロシア軍は、アウジーウカの西方でさらに攻勢を続けた。チェコがウクライナのために独自の砲弾確保の取り組みに乗り出したのはちょうどその頃だ。ウクライナ軍の砲兵はその後、新たな砲弾が供給されることを確信し、緊急用にとっていた予備の弾薬に手をつけ、砲弾の発射ペースを上げたもようだ。
advertisement

ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトは「この改善によって、ウクライナは東部で重要な陣地の喪失を防ぎ、ロシアのさらなる進撃を遅らせることができた」と解説している。「ロシア国民は当初興奮し、ロシア軍司令部はアウジーウカ近郊での最初の攻撃に続き、ウクライナ側の防御線をさらに深く突破する狙いだったが、ロシア軍は結局、アウジーウカを占領したあと大きな土地を得られなかった」

ウクライナ軍が砲兵火力をわずかに増強しただけでロシア軍の前進を食い止められたのだとすれば、砲兵火力を大幅に増強すればロシア軍の前進を押し返すことができるのではないか? つまり、ウクライナ軍は新たな砲弾を200万〜300万発得られれば、戦局をウクライナ有利へと転換できるのではないか。

たしかにウクライナ軍にはほかにも問題がある。人員不足、対空ミサイルの欠乏、戦闘で損傷した装備の修理の遅れなどだ。

だが、最も深刻な問題は砲弾の枯渇だった。ウクライナの支援諸国は、お世辞にもスムーズとは言えないにせよ、ようやくそれを解決しつつあるようだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事