4月4日に発表された報告書によると、パリ市民が郊外から都心へ移動する方法、特にラッシュ時の移動手段は、何キロにもわたって自転車専用道路が整備されたおかげもあって革命的な変化を遂げている。
現在、パリ中心部の道路を自転車で走る人々は、自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」で見られるような伸縮性のあるサイクルウェアに身を包んだプロではなく、日常の交通手段として自転車を活用している。
パリ地域研究所は、地方自治体や鉄道会社など14の官民団体からなるコンソーシアムの依頼で調査を実施した。
フランスのTV「20 Minutes」は同研究所の調査結果を受けて、「パリの自転車専用道路は常に自転車でいっぱい」と報じた。
調査は2022年10月から2023年4月にかけて、16〜80歳のパリ市民3337人を対象に実施。GPSトラッカーを装着してもらい、連続7日間の移動を記録した。公共交通手段がさほどない郊外では、クルマが主な移動手段だった。だがパリの郊外から中心部への移動では、自転車の利用がクルマを大きく上回り、わずか5年前から大きく変化している。記録された移動のほとんどは通勤・通学だった。
社会党に所属するパリ市長のアンヌ・イダルゴは、2期の政権で駐車場の削減やSUVの乗り入れ制限、一部の主要道路でのクルマ通行規制など、クルマの利用を抑制する多くの策を推し進めてきた。今回の調査結果は、イダルゴの政策を評価するものとなるだろう。この政策はパリでありがちな抗議デモを引き起こしていない。
要するに、クルマの締め出しはイダルゴに対して批判的なクルマ好きの人々が予測したよりもはるかに支持を得ており、パリはよりきれいで健康的な都市になっているということだ。
注目すべきは、フランス国外でよく見られる陰謀論が広まることなく、パリは「15分都市」という自国発のコンセプトも実践している点だ。これにより、首都圏では日常のほとんどの用事を近所で済ませられるため、クルマをさほど必要としない。
(forbes.com 原文)