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2024.04.08 09:30

穀物輸出大国、ロシアとウクライナの戦争で小麦価格が下落している怪

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戦争には莫大なお金がかかる。ウクライナでもロシアでも国庫から戦費として巨額の資金が流出している。戦車や軍用機をはじめ軍需品が途方もない規模で破壊されていて、その補充などの費用を賄う必要があるからだ。

もちろんこれは、日ごろ国際ニュースを読んでいる人なら誰でも知っていることである。だが、ロシアとウクライナの戦争が世界の穀物市場、なかんずく小麦市場に及ぼしている影響となると、よく知らない人も多いのではないか。

この影響が問題なのは、小麦価格がこのところ人為的に低く抑えられており、いつ反騰して物価を再び押し上げることになってもおかしくないからだ。

一部の専門家によると、小麦輸出市場の主要プレーヤーであるロシアとウクライナはいずれも現在、生産コストを下回る廉価で小麦を販売している。農産物市場の動向に詳しいショーン・ハケットはニューズレターにこう書いている。

「引き続き戦費を調達する必要に迫られているウクライナとロシアは、経済的に合理的でない価格で現物小麦を提供している。それをやめさせるには、何かが変わる必要がある」

両国がそうしているのはおそらく、相手側の勝利を阻めるのであれば、経済的に損失を出しても割に合うと判断しているからだろう。小麦を格安で売りさばいてでも現金を得られれば、補充品を調達して敵に対して用いることができる。

ハケットは、こうした状況は戦争報道などでは変えることができず、政府が規制するか生産者が販売を控えるでもしない限り、変わりそうにないとの見方を示している。

貿易ランキングサイト「World's Top Exports」によると、2022年2月末に現在の戦争が始まる前、小麦輸出市場でロシアとウクライナは金額ベースで29%を占めていたが、現在は14.3%まで縮んでいる。

シェアの急減には、両国で農産物を生産するための労働力やその他の資源が不足しているといった事情も絡んでいるだろうが、国庫収入の確保を優先して価格を引き下げる必要があったことも一因だ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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