北米

2024.04.06 14:00

米ボーイングがアラスカ航空に240億円支払い 事故の補償金で

飛行中にドアが吹き飛ぶ事故を起こした米アラスカ航空のボーイング製小型旅客機737型「MAX9」。2024年1月7日撮影(NTSB via Getty Images)

飛行中にドアが吹き飛ぶ事故を起こした米アラスカ航空のボーイング製小型旅客機737型「MAX9」。2024年1月7日撮影(NTSB via Getty Images)

米アラスカ航空は4日、財務状況に関する報告書を公表し、米航空機大手ボーイングから1億6000万ドル(約240億円)の現金支払いを受けたことが明らかになった。アラスカ航空は1月、運航していたボーイング製旅客機の機体の一部が飛行中に吹き飛ぶ事故を起こしていた。

この支払いについてアラスカ航空は、事故による運航の乱れや運航再開までに保有機材の調整にかかった費用を含む、今年第1四半期に同社が失った利益を補填するために支払われたものだと説明。同社は第2四半期以降もボーイングから補償金を受けることになっているが、契約の内容については開示できないとした。アラスカ航空は当初、今回支払われた補償金を収益として処理する予定だったが、後に航空機資産の減少として計上することを決定。それにより、第1四半期の損失見積額が増加した。

同社は事故後、顧客からの予約が減ったことを認めたが、航空需要の増加により、2月、3月ともに事故前の予想を上回る結果となったと述べた。

フォーブスの取材に対し、ボーイングはブライアン・ウエスト最高財務責任者(CFO)が3月20日、米銀大手バンク・オブ・アメリカの産業会議に出席した際の発言記録を提供した。同CFOは会議の席で、ボーイングが顧客を「窮地」に追い込んだことを認め、今後も顧客を支援し続けると明言したという。

アラスカ航空は今回の財務報告書を公表するわずか数日前、ボーイングとの協力関係を維持すると表明していた。その上で、優れた製造品質と安全性を確保するためにボーイングが行っている作業に貢献するため、できる限りのことをするとしている。

今年1月5日、アラスカ航空が運航していたボーイング製小型旅客機737型「MAX9」のドアプラグが飛行中に吹き飛び、機体側面に大きな穴が開く事故が発生した。航空機は無事に着陸し負傷者も出なかったが、この事故によってボーイング機の安全性に関する懸念が再燃することとなった。この事故を巡り、米国家運輸安全委員会(NTSB)と米連邦航空局(FAA)は調査を開始し、現在は米司法省による刑事捜査の対象になっているとも報じられている。ボーイングのデビッド・カルフーン最高経営責任者(CEO)は、この事故が「転機」となったとして退任を表明。同社は「謙虚に、透明性をもって」対応し続けると誓った。

アラスカ航空は、1月の事故とそれに伴う同型機の運航停止による損失を、1株当たり95セント(約144円)と見積もっている。同社の第1四半期の1株当たりの損失は、新たに1.15ドル(約174円)~1.05ドル(約159円)と見積もられた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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