アート

2024.04.10 14:15

「ついに2026年落成」のサグラダ・ファミリア─ 驚嘆の構造美をひもとく

カサ・バトリョ(c)neweuropetours

着工から100年以上経ってなお建設中であるユネスコ世界遺産、「永遠に完成されない建物」の代名詞的建造物、スペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア聖堂。

ところがこのたび、2025年に聖母被昇天の礼拝堂が、またガウディの没後100年にあたる2026年には高さ172.5mのメインタワー「イエス・キリストの塔」が落成されると発表され、世界で話題を呼んでいる。

歴史をくつがえすようなこのニュースを記念し、以下、サグラダ・ファミリアに関する記事をParametric-architecture.comからの翻訳転載で紹介する。


アントニオ・ガウディの作品は、見る人それぞれに独自の解釈をさせる。いくつかの作品はユネスコ世界遺産「アントニ・ガウディの作品群」の一部であり、サグラダ・ファミリアとグエル公園はバルセロナの地元住民のランドマークであり、地元政府によって高く評価されている。

サグラダ・ファミリアがいかに未完成であるか、には驚かされる。彼の建築は多くの観光客を魅了し、建築家や建築を学ぶ学生たちが度々その構成や形を研究している。
アントニオ・ガウディ。© quotesgram.com

アントニオ・ガウディ。© quotesgram.com

彼の個々の作品については別の記事で詳しく紹介するが、ここでは、あまり考慮されることのない一面、すなわち彼の構造工学、より良く言えば、彼の建築と工学の背後にある哲学について論じることにする。

とはいえ、この記事では、アントニオ・ガウディという人物、そして芸術家、建築家としてのガウディをより深く理解し、その根底にある隠された思考をより身近なものにしたいと思う。読者諸氏にはぜひ、彼の作品を理解する、あるいは理解できる状況に近づいてほしい。

ジェレミー・ローは、2009年に出版されたその名も『アントニオ・ガウディ』という著書の中でこう書いている。

「彼の思考に影響を与えた様々な要因を考慮しなければならない。例えば、彼の家庭環境、子供時代、出生地と学校、友人や人間関係、そして彼が生きた時代にカタルーニャとスペインで何が起こったかという歴史を含めて」

なぜそこまでしてガウディを理解する必要があるのか。その最大の理由は、ガウディを、単に彼が生きた時代の産物だと理解することは難しいからだ。

サグラダ・ファミリアは、ある意味では当時のヨーロッパで行われた他の大規模な制作と似ているかもしれない。例えば、その一例として、ガウディを尊敬していたというル・コルビュジエの作品や哲学を想起することができる。しかし、ガウディの形式言語や作業プロセスは、同業者のそれとはまったく異なっているのである。
エル・カプリチョのガウディ像。© La magia de la luz via Flickr

エル・カプリチョのガウディ像。© La magia de la luz via Flickr

ビルバオに近いカタルーニャの町、コミーリャスには、エル・カプリチョとガウディの別荘がある。そしてその中庭には、ガウディに敬意を表して設置されたガウディ像がある。

実は、ガウディの銅像や写真はほとんどなく、この、座し、沈思するガウディをかたどった銅像は彼の外観を知ることのできる貴重なものとなっている。彼が思い描いた形式的な構造のファサードの裏側で、ガウディ像は自身の作品を見ながら何を考えているのだろう、と想像が膨らむ。そして、このようにガウディを観察し、彼について思考をめぐらすことでこそ、彼の作品に近づき、理解することができるのである。
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