EUの競争政策担当委員マルグレーテ・ベステアーは先日、iPhoneの写真アプリをアンインストール可能にするようアップルに要求する可能性を示唆したが、そのことはiPhoneに保存された写真のセキュリティについての議論も生むこととなった。
「アップルは、いくつかのアプリをアンインストール可能にせず(そのうちの1つが写真であろう)、EUデジタル市場法(DMA)で定められているように、ユーザーがデフォルトの状態を変更する行為を妨げている」
テック系ブロガーのジョン・グルーバーはこの発言に批判的だ。
彼が更新するブログ『Daring Fireball(ダーリン・ファイアーボール)』で「ベステアーは、ECの調査発表では明確でなかったことを発言で明らかにした。もし彼らが、写真アプリを(現在のようにホーム画面から消すだけでなく)完全にアンインストールすることを要求するのであれば、これはECが OSのあるべき姿の設計者として存在するようになることを意味する」と彼はいう。
iPhoneの写真アプリは、本質的にプライベートなものだと考えられている。アップルは、位置情報のマスキングから画像の選択的共有機能に至るまで、写真のセキュリティ対策を次々と導入してきた。ブラウザやアプリストアのような他のアプリに対する変更の数とは比べようがないほど、その数は多い。
「写真はiOS上の単なるアプリではなく、カメラロールへのシステムレベルのインターフェースであり、iOSシステム全体を通して統合されている」とグルーバーはいう。そうしたiPhoneの機密ともいえるアプリの情報を第三者のサプライヤーに開放するのはリスクをともなうのだ。
「システム全体に跨るような写真に関するさまざまなセキュリティを維持しながら、EUの要求に応える方法など、私には想像もつかない」
写真のプライバシーを守ることは、iPhoneユーザーにとって重要なテーマだ。2021年、アップルはデバイス上でユーザーの写真を読み込み、既知の画像データベースと照合して児童性的虐待のコンテンツ(CSAM)を特定するというアイデアを明らかにした。しかし、デバイスに保存された写真を読み込むことに対するユーザーの反発は大きく、アップルはこのアイデアから完全に手を引いた。