iPhoneに保存された他のデータと同様「写真」はiCloudとリンクしている。だからこそ、信頼できるすべてのデバイス間で画像を共有したり、共有アルバムを作成したり、オリジナルをクラウドに安全に保存したままデバイス上の画像を編集したりすることもできるのだ。
写真を自動的に分類するなどのために必要な解析は、クラウド上ではなく、AIを搭載したデバイス上で行われている。
一方、グーグルのAndroidはクラウド上で同様の解析を行っており、その方針の違いを好むiPhoneユーザーが多いからこそ、2021年の反発も大きかったのだ。たとえ背後にiCloudというクラウドの存在があったとしても、iPhoneに保存されたデータはiPhoneに留まる必要があるというわけだ。
ただし、写真のプライバシー保護という観点では、アップルのアプローチも完全無欠とは言えなかった。
iPhoneに保存された写真は数々のセキュリティ対策によって保護されている。また、iCloudに写真を転送中、もしくはiCloudに写真が保存されている間は暗号化によって守られている。しかし! そう、この「しかし」がポイントなのだが、その暗号化を解除するキーは何を隠そう当のアップルが持っているのだ。
つまり、iPhoneに保存された写真は、完全にプライベートなものでもなければ、完全に安全という訳でもなかったというわけだ。
ところが、昨年初めに発表されたiCloudの「高度なデータ保護(Advanced Data Protection、ADP)」により、その状況は一変する。
クラウド上に保存された写真だけでなく、メモやボイスメモ、デバイスのバックアップ、さらにはiCloud Driveにまで、初めて完全なエンド・ツー・エンドの暗号化が適用された。また、アップルはADPにより「クラウド上でデータ侵害が発生した場合でも、データの大部分を保護する」と保証している。