経営・戦略

2024.04.09 14:30

バーチャル試着にAI画像生成、eコマースの限界に挑む米グーグルの挑戦

グーグルのコンシューマーショッピング部門でバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるショーン・スコットはこう述べる。「人々は1日に10億回以上、グーグルで買い物をしています。ショッピンググラフでは450億以上の商品リストから選ぶことができるため、自分が求めていたものにピッタリな商品を見つけやすくなっています」

「(スタイル・レコメンデーション機能などにより)買い物客はより簡単にショッピング体験をカスタマイズすることができ、わずか数クリックでより多くの好みの商品を発見することが可能になる」

この新機能に加え、グーグルは、オンラインで商品を検索する際に、ユーザーの心の中にあるイメージと正確に一致するファッションアイテムを見つけやすくするため、AIによる画像生成機能にも注力した。この機能により、心の中にあるイメージを言葉にして入力することで、自分が求めているようなアイテムの画像を生成し、目にすることができる。

加えて、グーグルが新たに提供するバーチャル試着機能によって、商品を発見するプロセスがさらに改善された。この機能を使うことで、ユーザーは、肌の色、体型、人種、髪質、身体のサイズなどさまざまな特徴を指定し、その特徴に合ったファッションモデルの着こなしを見ることができる。

全米小売業協会(National Retail Federation)もいうように、これらの機能の目的は、ユーザーが購入前に、より現実的な商品の見方ができるようにすること、商品の検索やリサーチの段階での不確実性をなくすこと、そして最終的には、業界全体で年間1010億ドル(約15兆円)以上の損失となる返品を減らすことである。

「AIによる画像生成やバーチャル試着などの機能を組み合わせることで、オンラインショッピングはこれまでに以上にパーソナライズされたものへと進化していくでしょう」と、消費者の行動データを扱うRetail Aware(リテール・アウェア)のキース・フィックスCEOは話す。

「ブランド側も、商品がより効率的に発見されることによる売上の向上、ユーザーが好きなブランドを指定できることによるロイヤリティの向上、バーチャル試着による返品率の低減などの良い効果を認識しており、アパレル業界全体におけるコストの低減に繋がることを理解しています」

グーグルがパーソナライゼーションとAIによるショッピング体験の強化に力を入れているのは、ユーザーと小売業者の双方が長年の間抱えてきた、オンラインショッピングにおけるさまざまなハードルを無くしたいとの想いからだ。

グーグルや他のeコマース企業が既存のショッピング機能を進化させ続けるなか、小売業者にとっても、これらのツールを活用し先手を打つことでオンライン上でのプレゼンスを最大化し、有意義な方法で顧客とつながることは非常に重要だ。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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