宇宙

2024.04.04

NASA、アルテミス計画用の「月面探査車」開発で3社を競わせる

Hasbul Aerial Stock / Shutterstock.com

NASAは4月3日、ビリオネアのKam Ghaffarian(カム・ガファリアン)らが共同創業したIntuitive Machines(インテュイティブ・マシンズ)を含む3社を、宇宙飛行士の月探査を支援するローバー(探査車)の開発企業候補に選んだと発表した。

NASAは、アルテミス計画で宇宙飛行士が月の南極を探査するための有人月面探査車(Lunar Terrain Vehicle、通称LTV)の開発をこの3社に託そうとしているが、実際にその契約を結ぶのは1社のみという。しかし、同機関は、米国政府が「最高の価値を得ることを確実にする」ためにこの3社を競わせる「マイルストーンベースの契約を結ぶ」と発表した。

この契約にはインテュイティブ社に加え、Lunar Outpost(ルナー・アウトポスト)社とVenturi Astrolab
(ヴェンチュリ・アストロラボ)社が含まれる。

インテュイティブ社は、この契約で3000万ドル(約45億5000万円)を獲得したと発表したが、ルナー社とヴェンチュリ社は金額を明かしていない。ただし、ヴェンチュリ社は契約の総額が最大19億ドルに達する可能性があると述べている。

新たな探査車は、NASAのアルテミス計画の宇宙飛行士が月面を探査し、水や氷、その他の資源を探すのを支援するために設計され「人類が初めて他の惑星で長期的な滞在拠点を確立する」のをサポートするとNASAは述べている。

この探査車は、史上初の女性や有色人種の宇宙飛行士を月面に着陸させることを目的としたアルテミス計画のミッションの一部となる。

提案されている探査車は、月面で10年間の使用に耐え、2人の宇宙飛行士が乗車可能で、ロボットアームを搭載し、月の南極の極端な気温に耐えられるものでなければならない。NASAは以前、2029年に予定されているアルテミスVの打ち上げからこの探査車を月面の有人探査に使用したいと述べていた。

NASAは昨年5月に、月の南極地域を探査しながら「宇宙飛行士がこれまで以上に遠くまで行き、より多くの調査を行える探査機」を求めて、月探査車の提案の募集を開始した。NASAは、この探査車がアポロ時代の月探査車と火星の探査車を掛け合わせたようなもので、クルーがいてもいなくても活動できる必要があると述べている。

インテュイティブ社は、ボーイングやミシュラン、ノースロップ・グラマンなどと共同で探査車を開発している。ルナー社は、過去に少なくとも1件のNASAとの契約を獲得しており、同社の開発チームにはロッキード・マーティンやゼネラルモーターズが含まれている。ヴェンチュリ社は、アクシオム・スペースやオデッセイ・スペース・リサーチと共同で探査車を開発している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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