AIで敗血症の発症リスクを検出、米FDAが診断ツールを初承認

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米ヘルステックのPrenosis(プレノシス)は3日、人工知能(AI)を用いて敗血症を診断する同社のソフトウェアの販売が米食品医薬品局(FDA)に承認されたと発表した。FDAの承認を得た一連のAI診断ツールとしては最新のものとなる。

発表によると、Prenosisのツール「Sepsis ImmunoScore(セプシス・イミュノスコア)」は診断および予測のための22のパラメーターを用いて、患者が24時間以内に敗血症を発症するリスクを算出する。これらのパラメーターの組み合わせは、敗血症診断のための「合法的に市販されているデバイスでこれまでに使用されていない」ものだという。

病院の電子カルテに統合されるこのツールは、米イリノイ州シカゴを拠点とするスタートアップ、Immunix(イミュニックス)のプラットフォームを利用して構築された。同プラットフォームは2万5000人以上の患者から集めた10万を超える血液サンプルを含むデータセットだ。

Sepsis ImmunoScoreは、FDAの新しい医療機器向けの審査プロセス「De Novo(デノボ)」を通じて承認された。

Prenosisの広報担当ゲーリー・プールは、全米の病院でSepsis ImmunoScoreを販売する計画で「来週、診断サービス大手との販売提携」を発表するとフォーブスに明らかにした。

米疾病対策予防センター(CDC)によると、敗血症を発症した成人で、死亡したりホスピスに送られたりする人は米国で少なくとも年間35万人という。

CDCの説明では、敗血症は感染症に対する極端な生体反応で、生命を脅かす恐れがある。米国では少なくとも年170万人が敗血症を発症しているという。初期症状は発熱、心拍数の増加、息切れ、意識障害など。米イェール大学医学部によると、敗血症の症状は急速に進行し、一般的な感染症の症状をともなうことが多いため、診断が難しいことがある。CDCは、65歳以上の高齢者や一度敗血症に罹ったことのある患者などは敗血症を発症するリスクが高いとしている。

敗血症の診断ツールでFDAの販売承認を得たのはPrenosisが初めてとなるが、米Epic Health(エピック・ヘルス)なども同様のツールを展開している。2021年にリリースされたEpic Healthの敗血症の発症を予測するモデルは、翌22年に改良されたがようだが、複数の研究で精査されてきた。

FDAは2日に米総合病院メイヨー・クリニックと米医療スタートアップEko Health(エコヘルス)のアルゴリズムも承認している。このアルゴリズムは、エコヘルスのデジタル聴診器で、心臓の左心室が収縮して十分な血液を送り出せない状態を示す低い駆出率を検出できるようにする。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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