国土交通省が2023年12月に発表した宅配便の再配達率は全国平均で11.1パーセント。荷物の約1割が再配達されていることになる。再配達にかかる時間は平均0.22時間。それにドライバーの1年間の稼働日数と1日平均配達個数をかけると、年間で638時間(26日)。その時間に荷物が配達できていれば、年間127万7760円の報酬が受け取れていた計算になる。つまりドライバーの年収は、本当ならプラス120万円ということだ。
国内外のEC事業を手がけるFun Standard(ファンスタンダード)は、そんな再配達に関する宅配便ドライバーのホンネを探るべく、個人向け宅配配達員と利用者、合わせて約200人を対象に調査を行った。そこから、利用者にはわからない意外な現状が見えてきた。
たとえば、不在でドライバーに迷惑をかけたくないと、確実に荷物を受け取れる夕方から夜間に時間指定する利用者が多いが、同じ理由で同じ時間帯を指定する人が多いため配達が集中する。しかも夕方の交通渋滞と重なるので、どうしても残業になってしまうという。宅配業者には時間指定を断る仕組みがないため、非常にツライ。
また不在通知をなかなか入れないドライバーがいる。たいてい、夜間の再配達を指定されるからだ。ただでさえ夜は荷物が集中するので、できれば昼間のうちに配達してしまいたい。だから、不在宅に何度も通い配達を試みるという。不在通知は、その前に何度も来ているのだというサインでもある。