これは驚くべきことであり、アップルは直近でもEUにおけるiPhoneへ劇的な変更を行っている。また、この変更は現時点ではEU固有のものだが、米国を含む各国政府が、EUのデジタル市場法(DMA)の何を真似るべきかを常に監視していることは明白だ。
テック系ブログDaring Fireballのジョン・グルーバーが引用した発言でベスタエアーは、「DMAの目的は閉鎖的なエコシステムを開放しあらゆるレベルで競争を可能にすること」であると述べた。「アップルは、いくつかのアプリ(写真はその1つ)をアンインストール不能にすることで、DMAが要求する、エンドユーザーが自分のデフォルト状態を変更することを妨げている」。
これは爆弾発言であり、現状では削除不能なアプリも、将来的に削除できるようにすべきであることを示唆している。
グルーバーによると、ユーザーがアンインストールできないアプリは、「設定、カメラ、写真、App Store、電話、メッセージ」など、さほど多くない。
「ベスタエアーは自身のコメントの中で、写真に問題がある、という調査に関する発表でEC(欧州委員会)が明確にしていなかったことをはっきりさせた。もし写真アプリを(現在可能なホーム画面から隠すだけでなく)完全にアンインストール可能にするという要求が通れば、オペレーティングシステムをどのように機能させるべきかという点に対して、ECが介入することを意味する」とグルーバーは続けた。
ベスタエアーは写真を単なるアプリの1つと考えているかのようだ。グルーバーが言うように、写真アプリは「カメラロールへ繋がるシステムレベルのインターフェース」だ。iOSシステム全体を通じて統合されており、ユーザーが写真にアクセスするレベルをアプリごとに許可する確認画面もある。ベスタエアーは、DMAに準拠するためにアップルはサードパーティーアプリがシステムレベルの画像ライブラリーとカメラロールの役目を果たすことを許す必要がある、と言っていることになる。これは途方もない要求であり、正直なところ私は、そのような要求がどうやってシステム全体にわたる写真へのアクセスの許可と両立するのか見当がつかない。これは製品デザインであり、単なる規制の問題ではない。
さらにグルーバーは、アップルはEUによる巨額な罰金の対象になる可能性があるので、欧州から撤退する方がコスト効率が高い、というところへ行きつくかもしれない、とまで言っている。私はそれはないと思うし、そうなれば欧州経済にとってもダメージが大きく、そのことはEUも認識していることだろう。
それでも、今回の件はとても興味深いものだ。私は、この要求はいずれ静かに取り下げられるだろうと予想している。いずれわかることだ。
(forbes.com 原文)