それは過去の裏切りや相反する期待など、さまざまな原因から生じ、懐疑心や誤解の種をまく。不信感は気づかないうちに人間関係の中に入り込む。電話に出なかったことや良かれと思ってついた嘘のような一見些細な出来事が引き金になることが多い。
不信感が徐々に忍び寄るにせよ、雷鳴のように突然降り注ぐにせよ、その影響は甚大で広範囲に及ぶ。ここでは、不信感が人間関係を壊すのを防ぐための3つのステップを紹介する。
1. 根本的な透明性を培う
根本的な透明性とは、単に表面的に情報を共有することではない。心の奥底をさらけ出すことである。そのためには、勇気、脆弱性、不快な真実と向き合う意志が必要だ。人間関係においては、それは親密さを育み、溝を修復するために極めて重要である。根本的に透明な関係においては、秘密も隠された意図もなく、ただ淡々とした正直さだけが存在する。根本的な透明性を育むには、オープンなコミュニケーションができ、真正性が促進される安全な空間を作るべきだ。ある研究によると、交際関係において誠実にふるまえる人は、よりパートナーを親密に感じ、関係を壊しかねない行動が減る。また、パートナーとの関係の満足度と個人的な幸福感が向上する。
同様に重要なのは、パートナーの視点に立ち、相手を理解する時間を取ることである。考え方が異なるときこそ、相手の立場に立ち、相手の目を通して世界を見て共感する練習をしよう。この率直さは、2人の絆を深めるのに役立つはずだ。
2. 相互説明責任の実践
健全な関係においては、信頼は相互的なものである。そのためには、パートナー双方が互いへの信頼を積極的に育み、守る必要がある。そこで重要な役割を果たすのが、相互の説明責任である。心理学の専門誌The Journal of Positive Psychologyに掲載された研究論文では、人間関係における説明責任のレベルが高いほど、ポジティブな結果につながることが明らかになった。説明責任を果たす人ほど人間関係の結びつきが強く、責任感のある行動をとり、感謝や許しといったポジティブな美徳を示す。彼らはまた、より良い関係修復、より大きな人生の意味、全体的な幸福感を感じている。逆に、説明責任のレベルが低いと、人格障害、不安、抑うつといったネガティブな症状につながる。