昨年8月マイクロソフトは、EUにおいてWord、Excel、PowerPointなどのビジネスソフトウェアを含むMicrosoft 365のサブスクリプションからTeamsを分離し、単独のサブスクリプションとして提供することを発表した。
マイクロソフトは4月1日ロイターに対し、この変更は全世界の顧客にとっての「明確性を確保するため」に行うものであり、今後ビジネスユーザーはTeamsを含まないOffice 365を若干安く購入できるようになると語っている。
この決定は、欧州委員会からのフィードバックに基づき、グローバル企業が「地域を越えて購買を標準化」する手助けをするためだと同社はいう。
フォーブスはマイクロソフトにコメントを求めた。
EUの行政執行機関である欧州委員会(EC)は、昨年7月にマイクロソフトに対する反トラスト捜査を開始した。捜査の目的は、マイクロソフトが「同社のコミュニケーション・コラボレーションツールであるTeamsを、ビジネス分野で人気の高いオフィススイーツのOffice 365およびMicrosoft 365とセット販売することで、EU競争法に違反しているかどうか」を調べるためであると欧州委員会は語った。
欧州委員会はマイクロソフトが市場におけるOfficeソフトウェアの独占状態を「悪用」し「コミュニケーション・コラボレーション製品」の競争を阻害していることに懸念を示した。捜査はメッセージング・プラットフォームのライバルであるSlackがマイクロソフトとTeamsに対して起こした訴訟に続くものだ。
マイクロソフトは昨年8月、EUの顧客に対してOfficeからTeamsを分離すると発表することで対応した。当時同社は、欧州委員会の懸念に対応するための「意味のある措置」をとっており、委員会との「広範囲にわたる建設的な議論」によって考えを明確にすることができたと語った。
果たしてマイクロソフトの今回の行動が、EUによる反トラスト法違反の罰を回避するのに十分かどうかは不明だ。欧州委員会は、マイクロソフトがOfficeサブスクリプションのユーザーに対してTeamsをサブスクリプションに含めるかどうかの「選択肢を与えない」ことで、ライバルに対する「販売上の優位性」をTeamsにもたらしてきたことに対し、特に懸念を示している。
Teamsの分離がその問題を軽減する可能性は高いが、委員会はさらに、マイクロソフトが自社の製品と「ライバルのメッセージングアプリとの相互運用性」を制限している可能性についても注意を促している。もし当局が対応に満足せず、マイクロソフトを反トラスト法違反で有罪にすれば、同社は世界年間売上高の最大10%におよぶ罰金を科せられる可能性がある。
マイクロソフトは欧州連合から過去10年間に、計22億ユーロ(約3550億円)の反トラスト法による罰金を科せられている。
(forbes.com 原文)