新型コロナで自己免疫性リウマチ性疾患リスク上昇 日韓の研究で

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日本と韓国の成人を対象とした最近の研究で、新型コロナウイルスが感染後1年以内に自己免疫性リウマチ性疾患(AIRD)の発症リスクを高めることが明らかになった。

これには関節リウマチ、乾癬(かんせん)性関節炎、シェーグレン症候群、全身性硬化症、リウマチ性多発筋痛症、混合性結合組織病、皮膚筋炎、多発性筋炎、結節性多発動脈炎、血管炎などの疾患が含まれる。医学誌「内科学紀要」に掲載された今回の研究では、重度の新型コロナウイルス感染症から回復したワクチン接種済み患者でも、これらの疾患のいずれかに罹患(りかん)するリスクが高まる可能性があることが分かった。

韓国の首都ソウルを拠点とする研究者らは、新型コロナウイルスがAIRDの発症リスクに与える影響を解明するため、日本と韓国の2カ国で2200万人以上のデータを分析した。このデータには、20歳以上の日本人1200万人以上と韓国人1000万人以上が含まれていた。ここには、2020~21年にかけて新型コロナウイルスの陽性反応が出た患者も含まれている。研究者らは両国の保険データベースから、対象者の人口統計学的情報と死亡率を入手し、心血管疾患、慢性腎臓病、呼吸器疾患の既往歴を調査した。

韓国人の対象者のうち3.9%に新型ウイルス感染症の既往歴があり、1%近くが過去にインフルエンザと診断されていた。新型ウイルスに感染したことのある日本人の割合は8.2%と高く、1%近くにインフルエンザの既往歴があった。

新型コロナウイルス感染後12カ月間のAIRD発症リスクは、インフルエンザ感染者や非感染者の対照群と比較して高いことがわかった。研究者らは、新型コロナウイルス感染症の重症度が高いほど、AIRDの発症リスクが高いと指摘。他方で、この研究には限界があることを認めている。研究は、新型ウイルス変異株のオミクロンが出現する前に行われていたからだ。また、一部のAIRD転帰はまれであり、推定値の中には不正確なものもあると説明した。

昨年発表された3つの研究でも、新型コロナウイルスの感染者は非感染者と比較してAIRDのリスクが高いことが示されていた。医学誌「臨床リウマチ学」に掲載された論文では、2020年に新型コロナウイルスに感染した患者を調査したところ、同ウイルス感染後に自己免疫疾患を発症するリスクが42.63%高まったと報告された。

AIRDは標的細胞や人体組織の機能を失わせる。最も一般的な疾患は関節リウマチで、免疫系が健康な細胞を攻撃し、関節に炎症や腫れ、激しい痛みを引き起こす。関節リウマチと全身性エリテマトーデスは女性に多く見られ、米国の患者数は成人女性人口の1%以上に上る。これらは主に中高年で発症するため、リウマチ性自己免疫疾患の主な併存疾患は、早発性心血管疾患と骨粗しょう症となっている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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