インドは、西側陣営によるロシアへの経済制裁の結果、ロシアの原油、天然ガスがインドに輸出されるようになった。インドのロシアからの輸入額は21年末に比べて23年末には4倍以上に増えている。
インドをより深く自陣に引き入れようとして、西側諸国も中露陣営も躍起になっているが、インドは、経済的・政治的に居心地の良い「中立」の旗をなかなか降ろそうとはしないだろう。日本が積極的にインドとの経済、政治、防衛、文化、学術のあらゆる面で連携を図ることは、日本・インドのためにも、西側陣営全体にとっても重要である。
伊藤隆敏◎コロンビア大学教授・政策研究大学院大学客員教授。一橋大学経済学部卒業、ハーバード大学経済学博士(Ph.D.取得)。1991年一橋大学教授、2002〜14年東京大学教授。近著に、『Managing Currency Risk』(共著、2019年度・第62回日経・経済図書文化賞受賞)、『The Japanese Economy』(2nd Edition、共著)。