大まかに以下の2つの軸に分ける考え方です。
・自動化の容易さ:マニュアル化やルール化されている部分が多いタスクや、複雑な要素が少ないタスクほど、AIに置き換えられやすい。
・現在のコスト:人間がそのタスクを行う場合のコストが高いほど、AIを活用したソリューションに置き換えるインセンティブが高くなる。
弁護士や会計士の仕事の多くは、明確なルールや手順が存在し、コストも高いため、真っ先にAIによる自動化の対象となるでしょう。私の予想では、簿記係やアソシエイト弁護士、パラリーガルの業務が最初に自動化されると思います。
もちろん、まだ規制などもあり、人による対応が必要な部分も多いので、すべての業務が置き換えられるわけではありません。
しかし、数人のパートナー弁護士の下で、大勢のアソシエイト弁護士がルーティン業務を担当する(そのため報酬も高額化する)という従来の弁護士事務所の構造は、今後大きな変革を迫られるでしょう。
自動化の容易さやコスト以外にも、次のような特徴を持つ業務が特にAIによる影響を受けやすいでしょう。
・繰り返しが多く、細かいニュアンスの考慮が必要ないタスク:創造性やケースバイケースの判断がほとんど不要な仕事は、AIによって代替されやすいでしょう。
・大量のデータ処理を必要とするタスク:膨大なデータの処理や分析は、AIの得意分野です。
・結果が分かりやすいタスク:定量的に評価可能で、成功の度合いを測りやすい業務は、AIによって最適化・自動化しやすいです。
今後LLMやAIによって形作られる新たなビジネス環境に対応していく上で大切なのは、これらのテクノロジーが単なる生産性向上のツールではなく、様々な仕事やプロダクト、ビジネスモデルにわたって変革を加速させる「触媒」であると認識することです。この変革の中では、ソフトウェアエンジニアでさえも安泰ではありません。実務者にソフトウェアを売るビジネスモデルから、自ら実務者となるビジネスモデルへのシフトは、「タスクのサポート」だけではなく「タスクの完遂」まで求められる新しい時代の到来を意味しているのです。
連載:VCのインサイト
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