スタートアップ

2024.04.04 15:15

SaaSビジネスがいま、AIで大きく変わろうとしている

LLMブームが起こる以前から、私たちVCはこうしたスタートアップのことを「フルスタック・スタートアップ」と呼んできました。「バリューチェーンの最初から最後まで一貫して自社で扱い、プロダクトやサービスを生み出す企業」と定義されています。
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実際、業界によっては既存の企業にツールを提供するよりも、直接エンドユーザーにサービスそのものを提供するほうが、より早くビジネスの成長と(マージンは低くなりますが)優れたサービスを実現できる可能性があると私たちも考えています。

もちろん、Coral Capitalでは以前から「実務者の支援」を目的としたSaaS企業にも投資しています。しかし、それと同時に「実務者になる」ことを目指すフルスタック・スタートアップにも投資してきました。例えば貿易業務サービスのShippioや、不動産業のすむたす、保険のjustInCase、クリニック経営のCAPSなどです。

この「フルスタック・スタートアップ」としてのビジネスチャンスは、LLMやAIという新しいテクノロジーの波の中で飛躍的に増える可能性があります。
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まずは、企業がすでに業務を外注している分野からビジネスチャンスを探るのが良いでしょう。具体的には、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)市場などです。

AIを活用したソリューションであれば、その圧倒的な一貫性とスピードによる優位性はもちろんのこと、人的コストを完全にカットできるため、ソフトウェア並みに高マージンのビジネスモデルさえ実現可能かもしれません。

さらに、コストの大幅な低下により様々な規模の企業でアウトソーシングの普及が進み、これまで外注が考えられていなかった業務も今後はアウトソーシングされるようになる可能性があります。

一方で、AIによって多くの人の仕事が奪われるようなことはなく、単純に既存の業務において人の能力を向上させるだけだと予想する人もいます。しかし、残念ながらそうはならないと私は考えています。

実際には自動化が進んで多くの仕事が置き換えられたあと、新たな仕事が長期的に創出されるという展開になる可能性が高いでしょう。そして、かつて製造業主体の経済からサービス業種主体の経済へと移行したときのような大きな変化を私たちは経験することになるでしょう。

短期的には多くの雇用が失われることも覚悟しなければなりません。フィリピンのように経済の10%近くをBPOが占めている国では、この変化は経済に壊滅的な影響を及ぼすかもしれません。一方で、高齢化が進む日本のような国の経済にとっては、この変化はむしろ「救世主」となる可能性があります。
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文=James Riney

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