(※ビタミンDはすべての人に必要な栄養素だが、ほとんどの人は通常の食事から必要量を摂取している。そうでなくとも日光を10分間浴びるだけで、1日に必要とされるビタミンD量の約4倍を摂取することができる)
今回新たに3万6000人以上の閉経後の女性を対象に、ビタミンDとカルシウムの併用が及ぼす影響を22年間にわたって調べた大規模な研究が、医学誌「内科学紀要」に掲載された。被験者は7年間サプリメントを摂取し、その後15年間追跡調査を受けた。これは研究としては極めて長期にわたるもので、研究者らの決意と努力に敬意を表したい。この研究では、サプリメントが股関節骨折に及ぼす影響だけでなく、がんや心臓病で死亡する割合がサプリメントによって変化するかについても検証された。
それによると、サプリメントを服用しても股関節骨折のリスクは低下しなかった。以前の研究で同じ結果が出ていることを考えれば、驚くべきことではない。だが、この研究は20年以上にわたって被験者を追跡する長期的なものであることから、別の問いを投げかけることもできる。ビタミンDとカルシウムは死亡率に影響を及ぼすのか? 単刀直入に言えば、サプリメントで死を防ぐことはできるのだろうか?
残念ながら、できなかった。しかし、報告書はもう少し微妙な論調で伝えている。研究の結果、サプリメントの摂取でがんによる死者数はわずかに減少した一方、心臓病による死者数はわずかに増加したのだ。
まず、実験の概要について説明しよう。実験に参加した約半数に当たる女性、1万8000人強がビタミンDとカルシウムの両方を毎日摂取するよう割り当てられた。このグループには毎日1000mgの炭酸カルシウム(元素状カルシウム400mg)と400IUのビタミンD3の錠剤が与えられた。残りの半数には偽薬(プラセボ)が与えられたが、いずれのグループにも、与えられている錠剤が偽薬かどうかは知らされなかった。