映画

2024.04.01

「過剰コンプラ」で消えゆくディズニーアニメの魔法 過去の栄光を取り戻せるか?

Alain Nogues/Sygma/Sygma via Getty Images

この記事ではLGBTQ論争を掘り下げないとしても、こういったディズニー幹部の「過剰コンプラ」姿勢が、同社の新作アニメをかつてないほど薄っぺらなものにしている原因かもしれない。

現代のディズニーが1940年版『ピノキオ』や、1994年版『ライオン・キング』のような、ダークさや一種の粗暴さを含んだアニメを製作することは決してないだろう。

リメイクと続編製作が頼みの綱?

ディズニーのリメイク作の中でも特筆すべきは、フルCGによる「超実写版」『ライオン・キング』だ。「超実写」とうたうだけあって、登場するキャラクターはほぼリアルな動物の姿をしている。そのため感情表現に乏しい(リアルな動物なので笑ったり泣いたりできない)、アニメらしからぬ作品となった。

そもそも実写リメイクがそこまで求められているのかという問題もある。さらにはディズニーにはもうリメイクする名作アニメもほぼ残っていない。

そんな中、ディズニーが力を入れているのが、続編の製作だ。過去の栄光の「反芻」はディズニーの主要戦略の模様。現在、公開が予定されているのは、『モアナと伝説の海』の続編『モアナ2(邦題未定)』 (実写版も製作中)、『インサイド・ヘッド2』『アナと雪の女王3』『トイ・ストーリー5』である。

『トイ・ストーリー』はいずれもすばらしいが、第5弾まで必要かという点には疑問符が付く。もちろん、それにふさわしいストーリーが用意されているとは思うが。

ディズニーの製作陣はやはり、クリエーティブ面で苦戦しているようだ。実際、誰も求めていない続編や実写版リメイク、マーベル映画の製作で大きな損失を出している

もちろん『君たちはどう生きるか』のスタジオジブリにも、課題がないわけではない。ジブリには次世代の監督が十分に育っていない。1985年に同スタジオを共同設立し、今年83歳になった宮﨑駿は、まだしばらくジブリのエースでいる必要がある。

しかし、宮﨑作品には常に宮崎自身の魂が込められている。本能に付き従う、突き抜けた創造性──これこそ、『君たちはどう生きるか』のような傑作を生みだす源ではないだろうか。

ディズニーが近い将来、この方向に舵を切る可能性はなさそうだ。いや、『アナと雪の女王』のようなポップカルチャー路線のヒット作ですら、もう生み出す力はないように思える。

forbes.com 原文

翻訳=猪股るー

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