640億ドルの違法賭博市場
米国のギャンブラーは合法的なスポーツベッティングに莫大な金額を費やしている。アメリカ・ゲーミング協会(AGA)によると、2023年のカジノやDraftKings(ドラフトキングス)やFanDuel(ファンデュエル)といったモバイルアプリでの総取扱額は1200億ドル(約18兆円)にのぼる。しかし、AGAは、米国人が毎年640億ドル(約9兆7000億円)を違法なベッティングに費やしていると見積もっており、連邦最高裁がスポーツ賭博を解禁してから6年が経った今でも、地下市場の規模は合法的な市場の半分以上だ。ラスベガス在住のあるプロのスポーツベッター(彼は、法執行機関の注意を引くことを恐れて匿名を希望した)は、人々がノミ屋を利用する主な理由は2つあると話す。
「ラスベガスのダウンタウンに行き、スーパーボウルに賭けて勝った場合、法的にはその勝利に対して税金を支払う必要があります」とプロのギャンブラーは語る。「それは所得とみなされ、IRSに税金を納める義務があります」
多くのスポーツブックでは、現金化されたチケットが300対1以上のオッズをつけた場合、賞金から税金が引かれる。多くのギャンブラーは、まさにこのような理由からブックメーカーを好んで利用している。合法的なスポーツブックはまた、ギャンブラーに賭けのたびに現金を前払いすることを要求するが、ノミ屋はクレジット(信用枠)を供与することで有名であり、シャープと呼ばれる内部事情に通じたギャンブラーやアマチュアにとって大きな魅力となっている。
「クレジットの力は成功に不可欠だ」とプロの賭け師は話す。彼は、プロの賭け師たちができるだけ多くの賭けを行う必要があり、正規の業者の多くが彼らの行動を制限するため、多くのプロがカジノで資金を投入し、ブッキー(ノミ屋)とクレジットで賭けるために代理人を使うと説明した。「私たちは少ないボリュームで仕事をしているので、クレジットが必要なのだ」
一方で、アプリやスポーツブックで賭けを行う何百万人ものアマチュアにとって、ノミ屋は資金が乏しいときに賭けをする機会を提供してくれる。「だから、違法なブックメーカーを探すのです」と、ラスベガスのベテランは話す。場合によっては、地元のブックメーカーは合法的なスポーツブックよりも良いオッズを提供することもあり、それも魅力的だ。