・親密さ:両者で共有される感情的な密接さ、つながり、および絆を指す。そこには互いに対する優しさ、信頼、愛情の気持ちが含まれている
・情熱:両者の間の身体的および感情的な強い魅力。それは欲求、恋愛、性的興奮などを網羅している
・コミットメント:長期にわたって、困難な時でも関係を育んでいくための忠実さと意思決定を反映する
「完結した愛」とは、本理論によると、愛の理想的な形であり、3つの要素すべてが高いレベルにあることで特徴づけられる。ユーザーは、AIの優れた認識能力と感情的能力によって、AIに対する親密さと情熱を育む可能性がある、と研究者はいう。そのような気持ちは、AIを長い時間使用することへのコミットメントを強化するものでもある。
共感を表現することは、人間関係における親密性を高めるために不可欠だ。これまでAIは、人間のさまざまな反応を理解、解釈して共感する能力を高めることで、愛され、認められ、理解されたいという人間のニーズに答えてきた。この感情的な能力によって、人間のような対人相互作用を模倣することが可能になり、ユーザーがAIシステムと親密になり、愛を感じる可能性が高くなる。
人はまた、自身の欲求や要望あるいは空想をAIに投影し、自分の感情的、社会的、さらには恋愛のニーズをたえず満たしてくれる理想的なパートナーかコンパニオンを心に描くことがある。
AIとの恋愛の可能性に関する2020年の論文の著者はAIの魅力について論じ、「アンドロイドには、魅力的な身体や利他的性格、献身的愛情といった自分を良きパートナーに見せるしくみが数多く組み込まれている」と指摘している。
人は、AIテクノロジーの人工的特性を見過ごし、その優れた能力のみに目を向けることがある。AIの効率の良さ、中立的な判断、および信頼性は、人間同士の関係で欠けているとよく感じられる、信用と安定感を生みだす。また、相手を信じやすい性格の人ほど、AIに恋愛感情を抱く可能性が高いことも研究者らは発見した。
以上を踏まえると、AIが人間同士のつながりを不要にすることはないとしても、AIがまるで人間のように振る舞い、人間を再現する日はそう遠くないのかもしれない。
(forbes.com 原文)