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2024.03.29 11:30

福岡の小売「トライアル」創業者、株価上昇でビリオネアに

より安価で性能を高めたセンサー技術が台頭する中で、永田はさらにAIへの注力を加速させている。トライアル社は1月、日本のハイテク大手NECと共同で、レジカウンターにAIを活用した顔認識システムを試験的に導入すると発表した。同社はまた、店舗のスタッフのコミュニケーション・プラットフォームに生成AIを組み込むことも検討している。

1980年代からDXに注力

永田のルーツは小売業だ。彼の父親は1974年に福岡で古着屋「あさひ屋」を開業し、1981年に当時25歳だった永田は同店を任された。永田はその3年後にトライアルカンパニーを設立し、小売業のデジタルトランスフォーメーション(DX)技術に焦点を当てたソフトウェア開発会社も立ち上げた。トライアル社のディスカウントストア1号店は1992年にオープンした。そして2018年に日本初の無人の24時間スーパー「トライアルクイック」をデビューさせた。

「20代の失敗を通して、私はビジネスのあるべき姿を悟りました。それは、自分の利益を追求するのではなく、顧客のために事業を行うという姿勢です。私はこの信念を疑ったことは一度もありません」と永田は自社のウェブサイトで述べている。

メディアへの露出が少ないことで知られる永田は、小売業のAI活用やデジタル化に関する書籍を執筆しており、2022年にはトライアル社での経験を交えて流通ビジネスについて語った書籍の『勝ち残るためのリテールDX トライアルグループが挑む新・流通革命小売業のデジタル変革を勝ち抜く方法』を出版した。永田はまた、スーパーマーケットだけでなく、不動産やレストラン、リゾート事業にも進出している。

株価の上昇を受けてここ1年で日本は新たな富豪を生み出しており、丸亀製麺のトリドールホールディングスの創業者でCEOの粟田隆也(62)やM&A仲介事業を行うM&A総研ホールディングスの創業者でCEOの佐上峻作(32)らがビリオネアの仲間入りを果たしている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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