新たな概念、「ロボセクシュアリティー」「ロボフレンドシップ」とは何か

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人間がロボットとの間に築く関係性とその動機について、「ロボセクシュアリティー」と「ロボフレンドシップ」という2つの概念を分析した研究結果が、学術誌Journal of Social and Personal Relationshipsに2024年2月19日付で掲載された。

この論文によると、人間とロボットの間にはこの2種類の関係性が生まれつつある。研究チームは、こうした関係性の構築に際し、社会的階層やジェンダー不平等に関する先入観が影響する可能性があることを見いだした。

なぜ人はこうした関係性に引かれるのか。

1. ロボットを性愛の対象として見る関係(ロボセクシュアリティー)

ロボセクシュアリティーとは、性的パートナーへ向ける関心や愛情を人型ロボットに対して抱くことをいう。研究者チームは、女性よりも男性のほうがロボセクシュアリティーに興味を示すことを発見した。

男性のロボセクシュアリティーは、敵対的な性差別と関連していた。これは、ジェンダー(社会的性別)に基づいて個人や集団、特に女性に向けられるあからさまに否定的な態度、信念、行動を特徴とする性差別の一形態だ。軽蔑的な言葉やステレオタイプ、差別的行動を通じて表現されることが多い。

この研究では、男性のほうが「社会的支配志向性(SDO)」のスコアが高かった。階層型社会を好む個人傾向を示す指標で、社会的支配志向性が高い人は「女性に対する男性の優位性」など、社会的不平等を支持する信念を是認する傾向がある。

研究チームは、社会的支配志向性が高いほどロボットとの性的関係に興味を示す可能性が高いと示唆している。ロボットは通常、関係性の力学における権力志向や自律性を持たないため、自分がロボットとの関係をコントロールできていると感じられるからだ。

論文はこう記している。「敵対的で性差別的な信念を支持する男性は、ロボットとのセックスに関心を寄せるようだ。このことからロボットとの性的関係に対する男性の関心が、女性に対する怒りや軽蔑、不信に根ざしている可能性が示唆される」

2020年に行われた「セックスボット」と人間の関係についての研究では、ロボセクシュアリティーをめぐる態度が、メディアで一般的な表現によって助長されている可能性があることを強調している。

「人間とロボットの親密な関係を描くメディア表現には、型にはまった性役割、異性愛規範、感情的な親密さよりも性的な親密の重視が見られる。SFでは、漫画やシリーズ物、書籍、映画などあらゆる媒体において常習的に、非常に性的なヒロインたちを登場させている」

これらの知見は、ロボセクシュアリティーへと向かう態度や意志について重大な懸念を提起するものであり、女性に対する有害なイデオロギーや態度を強化する恐れがあることを浮き彫りにしている。ロボセクシュアリティーをめぐる議論では、同意や尊重、社会的影響、規制監督に関した倫理的配慮を優先しなければならない。
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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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